【#佐藤優のシン世界地図探索74】生活水準が向上したモスクワから見る「クルスク対テロ作戦」
佐藤 いやいや、ロシアのエリートも大衆も全く揺さぶれてないし、何ともないですよ。逆に、ウクライナ軍はとんでもない奴らだとなっています。可哀相なことに、ゼレンスキーはこの実態がよく分かってないんですよ。 ――どなたか説明してあげられないんですか? 佐藤 もはや説明して何とかなる段階ではありません。 ――プーチンは「交渉なんかしないぞ」と鼻息を荒くしているんでしょうか? 佐藤 交渉に関しては、プーチンは「全体に関してはまだ可能性はある」としています。 ――交渉可能なんですか!? 佐藤 まずプーチンは、ウクライナが「ロシアと交渉しない」というその姿勢を撤回しろ、と考えています。 ――では、ウクライナが「撤回します」と言ったとします。すると? 佐藤 「南部四州からウクライナ軍は全部引け。そこはロシア領だ。それがスタートだ」と交渉条件を出してくるでしょう。 ――そこはすでにロシアの作った法律ではロシア領になってますからね。 佐藤 実際の落とし所は「現状の実効支配している領域で止める」ということになるはずです。 ――同時に、ウクライナはNATOに入らず、西側からもらった兵器を全て返せ、となりますよね? 佐藤 そうですね。「全部出せ」となって中立化ですね。 ――非武装中立でありますか? 佐藤 警察くらいの武装は認めることになるでしょうね。しかし結局、ウクライナは3つぐらいに分かれる可能性があります。いま言った条件を拒否する西部地域。そして中間地域と、ロシアに併合される地域ですね。 ――全てはクルスク奇襲から始まった、その結果となるかもしれませんね。 佐藤 そうですね。 次回へ続く。次回の配信は2024年9月13日(金)予定です。 取材・文/小峯隆生