「膠原病」の症状はご存じですか? 病気の種類や“腎臓”への影響も医師が解説!
「膠原病」という病気をご存じでしょうか? 膠原病は正式な病名ではなく、いくつもの病気の総称です。一体、どのような病気があり、どのような症状や注意点があるのでしょうか。膠原病と腎機能の関係性についても、「板橋腎・リウマチ隼聖クリニック」の上野先生に解説していただきました。 【この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております】
膠原病とは?
編集部:まず、膠原病について教えてください。 上野先生:膠原病は、免疫の異常で生じる病気の総称です。免疫には、細菌やウイルスから自分の体を守る役割があります。しかし、免疫が間違えて自分の体を攻撃してしまうことがあり、これが要因で起こる病気を自己免疫性疾患や膠原病と呼んでいます。攻撃の対象になるのは全身の関節や皮膚、肺や腎臓・腸などの内臓など多岐にわたります。膠原病にはたくさんの種類があり、類縁疾患も含めると20種類以上あります。 編集部:膠原病に特徴的な症状はあるのでしょうか? 上野先生:膠原病の種類によってかなり異なりますが、共通して多くみられる症状としては関節痛や筋肉痛、発熱、皮疹、手足のしびれなどです。また、免疫が自分の体を攻撃すると炎症が起こり、体力が奪われるので倦怠感や体重減少もしばしば起こります。それぞれの膠原病に特徴的な内臓障害があり、腎臓や肺、腸、筋肉、神経や皮膚などの障害によって、息切れ、手足のむくみ、発熱や頭痛、歩行障害、皮膚が硬くなる、全身の筋力低下など、非常に多くの症状がみられます。そして、ときにそれらの症状が命に関わることもあるのです。
膠原病の注意が必要な症状は?
編集部:具体的に、どのような病気が膠原病に当てはまるのでしょうか? 上野先生:関節の痛みや腫れ、動かしにくさが表れる「関節リウマチ」や、関節に加え皮膚や臓器にも炎症が表れる「全身性エリテマトーデス(SLE)」、皮膚が硬くなる「強皮症」、筋肉が炎症を起こして筋力が低下する「皮膚筋炎・多発性筋炎」などが該当します。 編集部:腎臓にも影響があるとのことですが、いかがですか? 上野先生:そうですね。全ての膠原病で腎臓の障害が起こるわけではないのですが、例えば全身性エリテマトーデスでは「ループス腎炎」、強皮症では「腎クリーゼ」、シェーグレン症候群では「尿細管間質性腎炎」など、膠原病の種類によって特徴的な腎臓障害が起こります。さらに、これらを診断していくうえでの検査所見も非常に多彩です。例えば、尿検査異常の中でも血尿が主体になるものやタンパク尿が主体になるもの、さらに尿検査で異常がないにもかかわらず腎機能が急速に悪化するものなど、診断がとても難しいものもあるので、腎臓内科に入院して精密検査することもしばしばあります。