つんく♂語る【後編】日本の未来は…子どもたちに充実したエンタメ教育を
誰もが知っているヒット曲を作るのも僕の使命
「日本の学校教育もグローバル化に突入していく時期なんでしょうね」と、3年ほど前から一家でハワイへ移住し、アメリカの教育システムを体感した上でこう語る。 「日本語は本当に難しい。そう思います。幼稚園の時期からひらがなとカタカナを覚えながら、数の数え方も自然と身につける。ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ……とか、いっぴき、にひき、さんびき、よんひきなど、単位も含めて覚えなきゃいけないし、6歳くらいから漢字を覚え、2年生で九九を覚える。これだけのことをやってたら正直、英語を習うとなったらだいぶ大変であることは明らかです。実際ハワイの小学2年生の英語の教科書の文章ですら、100%解読できない僕がいますので、大学で習った程度の語学力ではグローバル化と称するにはまだまだな面も大きいんでしょうね。それでもどっかのタイミングで英語を第一言語さながらで使いこなさなきゃいけない。オリンピックもあって、大阪万博があって、カジノが解禁になって、リニアモーターカーもまもなく走る。そのタイミングがいつですか?ってなったら、それこそ、今でしょ!って話でしょうね」 今後はエンタメを中心に教育にも積極的に取り組んでいくことになりそうだが、他にも何を見せてくれるのか。 「ビジネスとして音楽産業を盛り上げて行きたいというような、偉そうなことを思うこともあるけど、でも、実際僕にできることって何があるんだろうって弱気になったりもします。一番大事なのは、何が好きか。何に興味があったかな、ってことだとは思います。やっぱり音楽作るの楽しいし、もちろん演じるのも楽しい。それが原点だとは思うけど、そもそも場を盛り上げることも好きだったし、流行を人に伝えるのが好きだったし。なので、エンターテインメントの仕事をするのも楽しいんだと思います。結論的にいうと、やはり次の世代。いまの小学生低学年くらいの子どもたちが『○○が好き!』って言える『○○』をたくさん作ってあげるのが、僕ら大人の使命かなって思うんです。スターだったり、ヒット曲、おもしろ動画、映画やドラマ、舞台にしても、アニメやゲームであっても、子どもらが夢中になって人に口伝えで拡散していくような影響力のあるものをどんどんわかりやすく提供してあげなきゃって。音楽はいつの時代も重要なファクター。歌は世につれ、世は歌につれと、どなたの言葉かわかりませんが、本当にその通りだと思います。そういう意味では誰もが知っているヒット曲を作るのも僕の使命なのかもしれません。がんばります!」
令和のつんく♂も楽しみだ。 (取材・文・写真:志和浩司)