つんく♂語る【後編】日本の未来は…子どもたちに充実したエンタメ教育を
K-POPに感じるプロの姿勢と合わせ技のすごさ
現在のエンターテインメント界に関して、世界の音楽やK-POPに対して現状の日本はどうかとたずねてみた。 「K-POPは『よく出来てる』『クオリティーが高い』ってそう思います。それは『アイドルソング』というキーワードではくくれない、エンタメの中心として『かくあるべき』というはっきりとしたプロの姿勢が感じられるんですね。個人もすごいけど、グループでの合わせ技がすごい。理由を語るよりなによりすごいと感じるでしょ?」 世界のグループを見回しても、そこまで追求しているものはなかなか見かけないという。
「ワン・ダイレクションも踊らなかったしね。そもそもスポーツなんか見ても、合わせ技(団体競技なども)は本来、日本が得意なはず。『みんなで』『チームワークで』というマインドですね。日本人は圧倒的な練習量で、よく努力します。才能を超えて努力で結果につなげる。身長の低かった女子バレーが生み出したCクイックのような、そういう凄さ。それを音楽の世界ではK-POPチームがやってのけちゃった、そんなイメージです」 日本も、やるなら10歳ぐらいから積み上げていかないとダメなのでは、と話す。 「少年野球やサッカーのように“月曜~日曜までそれだけ考えてる”レベルに飛び込まないと。野球やサッカーは過去の積み上げがあるので、お父さん達の中にも名コーチがいるんです。そのお父さんもそのまたお父さんの世代にしごかれて育ってきたと思います。いわゆる、星飛雄馬の世界です。でも、音楽やダンスとなると変にいい音大出ててもJ-POPの指導には繋がらないように思うし、野球みたいに“県大会でベスト8まで行きました”みたいなわかりやすい基準となるような音楽の大会もないので、今の時代のエンタメにはなかなか繋がらないんでしょう。要するに指導者不足ですね。個人でのダンススキルは世界水準でも、10人~20人グループの振り付けができるとは限らないし、それが2時間のステージの演出となったらなおさら成立しない。そういった意味で登美丘高校のダンス部みたいなのが小学生レベルからそこら中にあれば、日本全体の刺激にはなるとは思います」