どうなるNext GIGA【5】全国学調の教科調査は2025年度からCBT化
あまり大きな話題になっていないが、全国学力・学習状況調査のCBT(Computer Based Testing)化は、Next GIGAの重要なポイントだ。既に質問調査はCBTに移行しており、2028年度(令和10年度)には教科調査も完全にCBT化する計画だ(図1)。調査を実施するシステムは、文部科学省が運用する「MEXCBT」(メクビット)だ。 【関連図版】Next GIGAに向けた課題と動向 全ての学校が参加する学調がCBTになれば、学習者用の端末はもちろん、一斉利用に堪えるネットワークの整備や「学習eポータル」の導入など、CBTを確実に実施できる環境を整えなければならない。自治体が環境整備を怠った結果、調査に支障を来たせば大きな問題になるだろう。
10月からサンプル問題を提供
国が2024年7月に明らかにした行程表によると、2025年度に中学校理科の教科調査を紙からCBTへ変更するのを皮切りに、毎年対象教科を増やしていき、2027年度にはMEXCBTを使ったCBTに移行する計画だ*。 * 小学校理科のCBT移行は2028年度だが、2027年度に実施する教科調査は全てCBTになる 2025年度の全国学調は、国立・公立・私立学校の小学校6年生と中学校3年生を対象に、質問調査と理科の教科調査を端末を使って実施する。CBTの教科調査では「全国同日一斉実施」ではなく、一定期間内に分散して実施される。 同日実施でない代わりに、複数の問題セットを用意しておき、児童・生徒ごとに異なる問題セットを出題する。解答する問題が異なるわけだが、IRT(項目反応理論)を採用することで横並び比較できるようにするという。 調査に先立ち、文部科学省は2024年10月に中学校理科のCBT化に関する説明会を開催。さらに、サンプル問題をMEXCBTに掲載する予定だ。各自治体・学校のおいては、児童・生徒が実際にMEXCBTに接続してサンプル問題に取り組んでみるといった試行、準備をすることが想定されている。今後CBTに移行する各教科も同じパターンで進んでいく。 初出:2024年10月14日発行「日経パソコン 教育とICT No.30」
文:江口 悦弘=日経パソコン