JBCが待った!ボクシングと格闘技の交流緩和路線の是非
プロボクシングの全国のジム組織を束ねる日本プロボクシング協会が先日の理事会で、格闘技界との交流の緩和を決定したが、ライセンスなどを発行、公式試合を統括するJBC(日本ボクシングコミッション)が“待った“をかけた。JBCルールに抵触するためだ。また「那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円」というAbemaTVの企画のオーディション(13日)に大阪の井岡弘樹ジムが使用されることも問題視された。同イベントの詳しい中身は明らかにされていないが、安全面などが担保されておらず、JBCが一切関与していないボクシングイベントにボクシングのオーナー、プロモーターライセンスを持つジムが関与することは大問題。なんらかの処分対象にもなる。ボクシングの6階級王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)が総合格闘技イベント団体の「RIZIN」とプロモーション協力契約を締結、元5階級王者のフロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)が、ボクシングと格闘技を融合させる新格闘技イベントの開催をぶちあげるなど、ボクシングの権威やブランドを格闘技界が利用しようとする傾向が強いが、本場米国では、ボクシングの聖域は守られており、ボクシングの発展につながるような他の格闘界との交流は、どんな形が正しいのか、幅広い議論、検証が必要になりそうだ。
JBCルールに抵触
日本プロボクシング協会は、先日、理事会を開き、他の格闘技との交流に関する規制を緩和していく方針を決定した。一部の理事から提案されたもので、他の格闘技への出場やセコンドに入ること以外ならば、バンテージを巻くことや、練習でミットを受けるなどの指導、交流、格闘技番組への出演、解説、リングに上がってのプレゼンターなどが認められることになった。 だが、これらは、厳密には、JBCルールの第2章「ライセンス」の第12条にある「すべてのライセンス所持者は、JBCによる特別の許可がない限り、他のプロスポーツまたは他の格闘技関連団体に関与もしくは従事すること(非公式試合への出場を含む)はできない」に抵触する。 10日、都内で東日本プロボクシング協会の理事会が開かれたが、JBCの安河内剛事務局長が出席して、JBCルールに抵触する問題であること、協議が必要であることなどを訴えた。 安河内事務局長は、「明らかにルールに抵触している。乱暴な決定だ。今後、格闘技界との接点をどう持つかは検討していくべきテーマではあるが、格闘技といっても、いろんな団体があり、JBCのような統括組織もない。そこにボクシング界が関与して、事故などなんらかの問題が起きたときに誰が責任を持つのか。もっと議論、検証が必要で、枠組みやルールをしっかり定めるべきだ。決定の見直しとJBCとの協議の必要をお願いした」という。 一方、協会側の言い分としては、「ボクシングの発展のためには、時代の流れに沿うことが重要。また格闘技界からボクシング界に正式なライセンスを持たない人間がバンテージを巻きに入りこんでいたり、一部のジムが格闘技興行の国際的なプロモート権を持っていたりする。特別な許可があればいいというルールだが、その特別な許可を与える判断も曖昧。そもそもJBCルールの線引きをハッキリとして欲しい」というものがある。またJBC側からの“待った”を受け「議事録に記された決定事項は変えるつもりはないが、今後、話し合い、協議は必要だと思う」という。 ボクシング界は、かつて格闘技イベントのセコンドについたボクシングトレーナーに対しライセンスの無期限停止処分を下すなど一線を画してきたが、今回、ボクシング人口の低迷に危機感を抱く協会側は、格闘技界との交流緩和路線を決定。JBCとの間でルールの解釈を巡ってバトルを起こすことになった。