「事業者だけで公共交通維持は難しい」、赤字山積のJR四国 待ったなしのローカル線議論、新旧社長を直撃
―まずは社内で検討をするのでしょうか。 「全線区でどこを優先的に進めていくかについては、社内で議論をしていかないといけません。ボールはJR四国にあるかなと思っています」 ―一方、西牧氏は社長退任時の記者会見で、自治体との議論が進まなかったことを「心残りだ」とも語っています。 「西牧氏の社長在任時はコロナ禍の最中で経営が危機的になり、そういった問題に取り組まざるを得ない切羽詰まった状況でした。いずれは地域と議論していかなければなりませんが、会社全体として黒字になり、今はある意味で切羽詰まっていません」 ―いつまでに議論に入りたいといった目安はありますか。 「今は、コロナで失われた現状の路線の旅客数をいかに戻すかというところです。たぶん2025年以降の話になるだろうと思っています」 ▽まずは利便性向上を ―新社長として何に注力していきますか。 「利便性向上につながるような取り組みに力を入れていきたいです。徳島バスとの協業を既に進めていますし、最近では(タクシー配車システムを手がける)電脳交通ともコラボしています」
「(列車を定間隔で運行する)パターンダイヤの導入もどんどん進めており、鉄道以外の接続も考えて整えているところです」 「非鉄道事業についてはマンションや不動産業のほか、投資ファンドの活用や新たなM&Aを成功させたいです。また、高松駅の新駅ビル『高松オルネ』の開業で、駅の乗降者数が増えたというデータがあります。駅を中心としたまちづくりにも力を入れていきたいです」 ▽運賃値上げ前倒し 続いて話を聴いたのが、コロナ流行中の2020年6月に社長に就任した西牧氏。運賃改定や非鉄道事業の収益拡大に尽力し、24年3月期決算で純損益を4年ぶりに黒字転換させた。在任中を「充実した4年間だった」と振り返る。 ―2023年5月、27年ぶりの値上げを実施しました。なぜこの時期だったのでしょうか。 以下、西牧氏「燃料費や電気料金などが高騰する可能性を見据え、列車の運行に必要となる経費のシミュレーションをしました。当初は2025年度の見込みでした。ただ、新型コロナの影響で(収入が)ガタッと落ちてしまった。それで22年に国に値上げの申請をしましたが、その後に利用者の意見を聞く公聴会は出席者がいなかったため中止になりました。仕方がないのかなと思われたのだと考えています」