相続する財産が不動産だけで相続税を納めるお金がないかも。今からできる対策は?
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」によると、二人以上世帯の場合の持ち家率は全国平均で68.9%となっています。世代別に見ると、年齢が高くなるにつれて持ち家率が高くなり、60歳代以上では約8割となっています(※)。 そのため、高齢者に相続が起こると、相続財産の課税財産のなかに不動産が占める割合が多くなる人もいます。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる? このような場合に相続税が発生すると、相続した人に相続税を納める現金がないということもあります。そこで今回は、相続財産の大半を不動産が占めている人が注意しておくことをお話しします。
相続財産を書き出しましょう
まずは、相続財産は何があるかを把握し、分かる範囲で書き出してみましょう。相続財産には、以下のようなものが挙げられます。 ●資産 ●みなし財産 ●債務 ●葬式費用 ●相続開始前に贈与した財産 (相続税の申告書の順に記載しています) 資産とは、現預金・土地・建物・車・株式・投資信託・金・貸付金などが挙げられます。普通に想像がつくものもあれば、人にお金を貸していて返してもらっていないお金(貸付金)というように、想像しにくいものも資産となります。 みなし財産とは、代表的なものは「生命保険金」と「退職金」です。前者は亡くなった人が保険料を負担していて、亡くなったことが原因で亡くなった人以外の人が受取人になっている場合が「みなし財産」として相続財産となります。 「退職金」は、亡くなったことにより勤めていた会社が支払った退職金(一定の要件あり)が相続財産となります。 債務・葬式費用は、亡くなった時点で抱えているローンや亡くなった後に支払った最後の医療費など、さらには、その亡くなった人に係る葬式費用(一部除かれるものあり)は、「マイナスの財産」という意味で、すべての相続財産の合計からマイナスすることができます。 相続開始前に贈与した財産について、令和6年に亡くなった人の場合、相続開始前3年以内に贈与した財産(暦年課税したもの)は、相続財産として加算されることになっています。そのため、この加算された財産に対して贈与税を支払っていれば、相続税を計算するときに贈与税額控除されます。 ただし、相続時精算課税制度を使って贈与していた場合には、その制度により贈与した財産はすべて、相続財産となるので注意しましょう(一部控除できる金額もあります)。