投資の運用益「172億円」を生み出す”特異な手法”を公開…!《投資の天才》コーエーテクモ襟川恵子会長「爆益の秘密」
19%という高利回りの裏側
そのヒントは、実は図表4のコーエーテクモHDの営業外収支の内訳にあります。ここに「有価証券償還損」という科目が出てきます。株式は償還期限が存在しないので、当然この科目は株式とは関係ありません。 関係があるのは、社債や国債等の債券です。社債や国債の場合、通常は満期で全額元本が償還されるはずなので、「有価証券償還損」という科目が発生するはずがありません。 この科目が発生する理由は、コーエーテクモHDが元本割れで債券を購入しているからです。 例えば、元本が1億円の債券があるとします。単純化して、ここでは利息は発生しないとします。この債券が8000万円で、市場で取引されているとします。この債券を8000万円で購入し、満期に全額元本が償還されれば、差額の2000万円が利益になります。 一方で、満期で5000万円しか返ってこない場合は、3000万円の損失となります。この後者のケースが「有価証券償還損」が発生する場合です。 元本以下で購入した債券が満期において満額返済された場合には会計上、有価証券償還益もしくは受取利息として計上されます。普通の債券だと利回りが19%もあるはずがないので、おそらくコーエーテクモHDは元本割れの債券に投資をすることで、投資リターンを得ていると予想されます。 それが受取利息を146億円も計上している秘密だと考えられます。
ハイリスクハイリターンの債券
実際、2022年6月にはコーエーテクモHDがゼロクーポン債を買い込んでいるという報道が出ています(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-06-24/RDXNM1T0G1KZ01)。ゼロクーポン債とは発行時の価格が額面金額(元本)よりも低く設定され、満期時に額面金額で償還されることで利回りを提供する債券のことです。 そしてこの時期に、24年3月期の受取利息146億円につながるゼロクーポン債投資の仕込みを行っていたと考えられます。 事実、2019年3月期では社債への投資は86億円程しかなく、24年3月期の714億円の12%ほどしかありませんでした。この年の営業外収益は84億円とだいぶ少ないものでした。ということは、積極的な債券投資が、コーエーテクモHDにより一層の営業外収益をもたらしたと言えるのです。 ただし、この投資手法にも当然リスクはあります。それが満期で元本を回収できない「有価証券償還損」の存在です。 以下では、図表2を再掲しています。2023年3月期は、過去に比べて経常利益に占める営業外収支の割合が少ない年でした。 この年度は、営業外収益223億円に対して、営業外費用は215億円となり、営業外収支はわずか8億円弱。営業外費用がこれほどまでに膨らんだ理由は、有価証券償還損が140億円近くあったからです。つまり、安く仕入れた債券が満期で全額回収できず損失を計上したということになります。 このようにリスクの高い債券投資を行い、リターンを得ているのがコーエーテクモHDの投資スタイルなのです。 とはいえ、多くの期間で安定的な運用成績を残していることから、同社の投資を担っているされる代表取締役会長の襟川恵子氏の手腕は相当なものであるとうかがえます。
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