【インタビュー】モントーク跡地、外観を同じくした新施設「V.A.」が目指すもの
「服を売る隣で、パンが焼ける匂いがするのがいいんだよね」(藤原ヒロシ)
⎯⎯ 物販、カフェ、ベーカリーという3つの軸はどのように決定したのでしょうか? カフェに関しては、ヒロシさんから「カフェをやるなら宇一さんとがいいよね」と言っていただきました。ベーカリーは、ヒロシさんから「服を売る隣で、パンが焼ける匂いがするのがいいんだよね」というアイデアをいただいて。ヒロシさんとは「ザ・プール青山(the POOL aoyama)」の頃からずっと「実験的な、これまでにない店舗の在り方」を考えてきたので、そういうイメージがあるんじゃないでしょうか。 ◾️ジュンとシナモンロール ジュンは、1980年代に、毎朝7時15分に開店する“日本一早くオープンするパン屋”「セブンクォーター(715)」を運営。人気メニューのシナモンロールを求めて行列ができたという。店舗は恵比寿にあったが、パンを焼いていたのは表参道だったという。ならば、「ジュンのシナモンロールを、新しく表参道で焼こう」と、中2階のVAT BAKERYでもシナモンロールを取り扱う。シナモンロールはカフェ ド ロペでも取り扱っていたメニューでもある。VAT BAKERYのシナモンロールは「ロール」といえどツイストした生地をバットで焼き、焼き上げた後にカットして提供。一般的なシナモンロールよりもサクサクとした食感が特徴的。 ⎯⎯ カフェスペースでは、一部の座席に今年5月に閉店した神田の老舗喫茶店「エース」から引き継いだ家具が設置され、カフェメニューではエースの名物「のりトースト」も提供されています。 ヒロシさんが以前から通っていたお店で、プロジェクトを進めている途中でご紹介いただきました。ヒロシさんが閉店前に訪れた際に交渉してくださり、家具を譲っていただくことになったんです。 リノベーションというのは、壊してみないとわからないことも色々あるので、最初から完成形を定めていたわけではなくて。都度状況を見ながら最善を考えつつ進めていきました。ちなみに、のりトーストはヒロシさんが好きなメニューだそうです。 ⎯⎯ 藤原ヒロシさんが手掛けられたコンセプトストアは「プール」「パーキング」「コンビニ」とコンセプトが明確でした。「V.A.(Various Artists)」はコンピレーションアルバムなどで多くの参加アーティストを指す際に使われる言葉ですが、藤原ヒロシさんの音楽への考え方が反映されたストアなのでしょうか? どういったお店にしていくかは、ヒロシさんや宇一さんと話し合いを重ねましたが、僕としては、ジュンにとっての“ソニービル”のように会社を代表するランドマークにしたいという想いがあるんです。そして、今の時代の企業を代表する場所を作るなら、自社のものだけが置かれている「ショールーム」的なものは違うのではないかと考えています。 そのため、V.A.は今後ポップアップスペースとしての貸し出しも予定していますし、色々な人が“書き込む”ことで場所の価値が上がっていくような、オープンソースプラットフォームを提供する場所でありたい、というお話はさせていただきました。物販、カフェ、ベーカリー以外にも、他社さんとのコラボも含めた色々なことができる場所を目指すのは、ある種「コンピレーション」的でもあるから。ヒロシさんの頭の中の基本構造は、やはり音楽的な要素が大きいので、ヒロシさんの中で「V.A.」というイメージが生まれることは必然だったのかもしれません。 ◾️1階 物販・ポップアップスペースエリア 1階の物販・ポップアップスペースでは、「チャンピオン(Champion)」「エンダースキーマ(Hender Scheme)」「リーバイス(Levi’s(R))」「エルエルビーン(L.L.Bean)」「ニューエラ(New Era(R))」などとのコラボレーションアイテム、高橋盾、西山徹がV.A.のために製作したアイテムを販売。「アニエスベー(agnes b.)」「オーデパールパリ(Au Départ Paris)」「パックマン(PAC-MAN)」と藤原ヒロシが主宰する「フラグメント(fragment Design)」が共同製作した限定アイテムを多数ラインナップする。 ⎯⎯ これまでのコンセプトストアはいずれも短期間で閉鎖してきましたが、V.A.の営業期間についてもお聞かせください。