【インタビュー】モントーク跡地、外観を同じくした新施設「V.A.」が目指すもの
【ジュンの2024年を総括】基盤が揺らいだ1年、2025年は「一から作り変える」
⎯⎯ 続いて、全社的な2024年の状況を振り返りつつ、ジュンの中でのV.A.の立ち位置を伺っていきたいと思います。まずは今年を振り返って、どのような1年間でしたか? 結構大変な1年でしたね。基礎ができているつもりだった会社の基盤が揺らいでしまって、本当に初心に戻って色々なことをやり直さないといけないと気付かされた年でした。 ⎯⎯ 具体的に苦戦したブランドとその原因を教えてください。 事業の基礎となる主力の「ロペピクニック(ROPE PICNIC)」や「ビス(VIS)」といった低~中価格帯のブランドの成績が伸び悩みましたね。コロナ明けのリベンジ消費は勢いがありましたが、そこからまたノーマルな状態に戻った時に、コロナ前と比べて消費者の意識が大きく変化しました。低価格帯のブランドを求める消費者の目はよりシビアになり、市場の二極化が急激に進んだにもかかわらず、これまでと同じような提案をしていたためお客様とのギャップが生まれてしまったと感じています。人口減の中で客数の増加が見込めないからこそ、高付加価値の商品を提案したり、価格を据え置いたり、逆に上げてしまったり、これが結果的にあまり良くありませんでしたね。 ⎯⎯ 一方で高価格帯の「ビオトープ(BIOTOP)」は好調です。 二極化したうち、逆にアッパーの領域は取れてきている実感があります。その点はとても良かった。しかし、やはり主力領域のお客様の変化をより確実に捉えていかなくてはいけなかったなと反省しています。 あとは、店頭を中心にコロナ禍に入社したスタッフの割合が増えていて、そうしたメンバーひとりひとりが企業理念を理解して働いてくれる環境を作れていたかというと、もっとやりようはあったなと。思い返せばコロナ禍に店が閉まっている時に、研修や教育により注力すればよかったなという反省もありました。 ⎯⎯ そう言った意味で、 V.A.ができたことは内部メンバーにとってのモチベーションにもなりそうですね。 そうですね。企業としてこうした魅力的な発信をしているというイメージが対外的にも認識されていくことで、内部のモチベーションにもつながっていくと思います。 ⎯⎯ 「サタデーズ ニューヨークシティ(Saturdays NYC、以下サタデーズ)」をはじめとする飲食事業の業績はいかがでしたか? 飲食全体は堅調です。コロナ禍以降の、人と会ったり、外出したりという需要は引き続き安定して根強いです。しかし、やはりアパレルが基盤の会社として、カフェ事業を今の状況で注力すべきなのかというと、他にもっと優先して見直さないといけないところがあるというのが正直なところです。 ⎯⎯ V.A.は飲食領域の中でどういったポジションを担っていく予定ですか? V.A.はかなり特異的な例にはなると思います。でも、V.A.に新しく作った「VAT BAKERY」は、今後スピンオフしてまた別の場所に出店するということもありうると考えていて、そうした新しい事業を育てる場としても活用していきます。 ⎯⎯ 反省がある一方、富士急ハイランドのスタッフユニフォーム製作やネットフリックス(Netflix)とのコラボレーションなど、話題を集めるニュースも多い1年でした。 これまであまり取り組めていなかったBtoBビジネスにももっと重きを置くべきだろうと、営業を強化していたタイミングでもありました。来年以降も色々と発表できる予定です。 ⎯⎯ 楽しみにしています。新しい挑戦もありつつ、やはり来年の展望は「初心に帰る」でしょうか? はい。一から作り変えるつもりです。基礎体力もつけなくてはいけないし、収益も高めたい。そのためには、これまでの社内の常識から変えていかなくてはいけないと考えています。今少しずつ着手していますので、来年はそれを結実させる年にしたいですね。 (聞き手:橋本知佳子)