【ルポ】原発から出る「核のごみ」どう処分?「地層処分」研究の最前線へ!(下)
原発から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」。その最終処分場は、選定から閉鎖に至るまでで約1世紀。その後数万年にわたり安全を確保する必要がある。想像もつかない遠い未来のために研究を続ける技術者の想いは…。 (報道局総合ニュースセンター 野田 美佳子/福澤 真由美)
■研究データの活用
原発から出る使用済みの核燃料を再処理し、最終的に残る「核のごみ」=高レベル放射性廃棄物をどう処分するのか。原発を保有する全ての国が直面する課題だが、幌延のように大がかりな研究拠点は国内はもとよりアジアでも類を見ない。
このため、センターではドイツ・イギリスなどと国際共同プロジェクトを組み、8つの国と地域の11機関で協力しながら研究を進めている。今年6月には国際会議も行われた。幌延で得られるデータは各国の最終処分技術の確立にも役立つだろう。
■地層処分研究の今後は…
東京電力福島第一原発の事故から間もなく14年。仮に原発を今すぐ全て止めたとしても、これまでの運転で出た放射性廃棄物は処分しなければならない。一方で去年、国はそれまでの消極的な原発政策を大きく転換、既存の原発の再稼働に注力するとともに、将来は新たな原発の増設も含め、積極活用へと舵を切った。高レベル放射性廃棄物の処分問題は、ますます重要になってきている。 今年3月末時点で2530本ものガラス固化体が既に存在し、全国の原発の使用済み核燃料プールの貯蔵率は平均で約80%だ。現在の研究計画は2028年度末で終了し、掘り続けられた長大な坑道は、その後埋め戻される予定となっている。一方でその研究成果をつぎ込むはずの実際の最終処分場については、建設の見通しは全く見えない。処分地の選定だけで20年以上かかる。 処分地選定から操業を経て閉鎖に至るまでで約1世紀。その後数万年にわたって安全を確保することになるという壮大な地層処分計画。計画の全てが終了するとき、もはや今の人類はいないだろう。この日私たちを案内してくれたセンターの舘副所長に地層処分の研究を続ける思いを聞いた。