【ルポ】原発から出る「核のごみ」どう処分?「地層処分」研究の最前線へ!(下)
舘副所長 「3.11の原発事故や社会情勢により、原発の安全性について世の中から厳しい意見があることは承知している。しかし、最終処分は一番重要な課題。少しでも前に進め、技術を長期的にしっかりつないでいくための人材育成にも取り組んでいきたい」 折しも今年8月、世界初の高レベル放射性廃棄物最終処分場「オンカロ」で試運転が始まった。フィンランド政府が地層処分の方針を決めたのは1980年。40年以上の歳月を費やし、ようやく処分のスタートラインに立った状態だ。
処分地選定は思うように進んでいないが、国内に少なくとも1か所は最終処分場の建設が必要とされている。舘副所長は「将来的にどこが候補地になったとしても、最終処分場を造ることができるよう、今できる研究を最大限進めることが必要」と話していた。
■最終処分は未来に対する“責任”
技術革新によるエネルギー効率の向上や省エネの進化によって、国内での電力使用量は今後減っていくとの見方が、かつてはあった。しかし生成AIを含む新たな技術の出現により、電力需要はむしろこれから増えていくとの見方に変わりつつある。 そうした中、政府は原子力の積極利用に大きく舵を切った。青森県の中間貯蔵施設への使用済み核燃料の搬入も始まった。
我が国が今後原発を積極利用するのであれば、そこですでに生じた「核のごみ」、さらに今後生じるとみられる「核のごみ」のいずれからも目を背けず、最終処分のあり方について考える必要がある。 それは遠い未来の人類に対する我々の責任でもある。