物価高を乗り越える「噴水型の経済」とは?
地方創生の文脈で考える「企業城下町」
官がやるべきではないとされてきた状況が、グローバル化の進展で考えが変わってきています。各国が国を挙げて取り組んでいる中、日本も取り組まないと遅れてしまいます。 加えて木原氏は、「製造業を含め、自分の国にしっかり産業を戻すことが重要」と力説します。 木原氏「規制もあり、投資コストも高い日本では、国の関与がなければ、なかなかそういう判断ができない。そういう時代の中にある」 人件費の高さがネックとなり海外に流出した日本の製造業ですが、「今の人件費の水準はそれほどでもない」と木原氏は説明します。 木原氏「ただし、エネルギーのコストは高い。このコストをしっかり抑えなければならない。そのために、個人的には原発の再稼働、新・増設すべきだと思う」 もうひとつの大きなハードルは人手不足です。木原氏は、「生産性の低い、労働集約型の分野にコストの安い人を入れたらより生産性が下がってしまう。IT化やAIを導入、省力化へ投資をすることで生産性を上げるのが重要」と語ります。 また、東京一極集中問題を解消し、人材を地方に持っていくのが重要とも説明します。 木原氏「安倍政権はマクロの政策、アベノミクスで成功した。岸田政権はその土台に乗って、企業のマインドを官民連携に持っていった。次は地方なんですよ。東京一極集中を是正するのが石破さんの役割として非常に大きいと、勝手に期待している。」 地方を豊かにしていくための方法論は。 木原氏は「そこに仕事がないとダメ」と断じます。 省庁の移転だけでは産業も起こらないし、新しい雇用も生まれません。また、地方分権で権限と財源を移譲するのも重要だが、それだけでもダメ。企業が地方に移っていくことを強力にサポートすることが重要だと説きます。 木原氏「企業によっては、地方に移転する時に地方大学の経営や病院経営に関与したいという考えもある。ある地域を選んだ時、企業が解決したいと思う課題を、その部分に限って特区で規制緩和をするなどのきめ細かい支援が必要」 木原氏は、「日本中に『企業城下町』を100個くらい作りたい」と語ります。 木原氏「トヨタ、日立、パソナ……財政や税、規制改革を活用しながら、企業城下町を作っていくのがこれからの役割ではないか」 熊本にTSMCが来たことで、熊本には新しい高専ができ、新しい大学の学部ができ、関連企業が集積し、インフラ開発も進んでいます。木原氏は、そうした集積が必要だと説きます。 産業立地政策をさかのぼると、1970年代の太平洋ベルト地帯、1980年代のテクノポリス構想がありました。 木原氏「改めてその種の産業立地政策を考える時期。地方創生の文脈で考える時代じゃないかなと思います」