G7サミット開催の「事実」アピールに執心の広島市、核抑止論に利用された痛恨の現実は直視せず
ちなみに、原爆資料館の北側には先月、5000万円をかけて「G7広島サミット記念館」が建てられた。「G7広島サミットを振り返っていただくため、首脳会議で実際に使用された円卓・椅子や各国首脳等が記帳した芳名録などのサミットの開催を想起する代表的な品々などを公開」(広島市)するものだが、サミット期間のハイライトであったはずの「広島ビジョン」についての記述はなぜか、パネル説明のどこにもみあたらない。 ■ 忘れずにいたいG7サミットの「ファクト」 「大国」の首脳たちがはるばる広島で集結し、G7サミットを開催した。その表面的な「ファクト」だけが大事なのか。それが、わたしたちがいつまでも「想起」したいことなのか。 核兵器を手放そうとしない国々が、広島という被爆地を舞台として使い、「核兵器には安全保障上の役割がある」と確認した。その「ファクト」こそ、いついつまでも「想起」され続けなければならないと思う。 あの日、核超大国、そして原爆投下国であるアメリカの大統領に配慮し、ガラス張りの資料館の内部が外から見えないよう目隠し用の白いシートが外壁のガラス一面に貼り付けられたということも。
宮崎 園子