エンタメ王国・サウジアラビアがアツすぎる! 初開催の超巨大ゲームイベント「eスポーツ・ワールドカップ」を徹底現地ルポ!
世界最大の総合石油・化学企業「サウジアラムコ」がスポンサーのレーシングゲームのパビリオンでは、円形の会場にF1シミュレーターが設置されており、そのリアルさには目を見張るものがありました。 中東・北アフリカを中心にトヨタ車の輸入販売事業を手掛ける大手商社「ジャミール」社(ALJ)は、本物のゴーカート場を提供していました。 会場内にはゲームキャラクターを中心としたコスプレイヤーが男女問わず会場を練り歩いています。中には"再現度"がかなり高いコスプレイヤーもいまして、現場はなかなかの活気でした。 活気があるといえば、先述したサウジ最大手のeスポーツチーム「Team Falcons」のパビリオンは大盛況で、1日に2回行なわれるファンミーティングのチケットは常に売り切れ、追加販売分も即完売でした。 17年から配信活動を開始している彼らは、ゲーム配信者としては中東では古参といえる存在です。その人気の高さからゲーム配信だけでなくYouTuberとしても活躍しているためか、若いゲーマーだけでなく家族連れの親子にも知られており、壇上にメンバーが登場するたびに歓声が上がっていました。 ゲームのプレイ動画をネット配信することによって新しいスターが生まれ、それがそのゲームの人気につながる―近年、ゲーム界を支えているストリーマー(ゲーム配信者)文化は、ここ中東でもしっかり根づいていました。 ■中東のガンダムオタク ところで、エンタメ分野でサウジは日本と強い結びつきがあります。eスポーツW杯から話がそれますが、同大会開催と同じタイミングにリヤドでアニメ『グレンダイザーU』(*2)第1話と、日本でも大ヒットした映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(*3)のプレミア上映会に立ち会いました。 (*2)70年代に放映された永井豪原作のテレビアニメ『UFOロボ グレンダイザー』のリブート作で、今年7月より日本で放映が開始。旧作の中東での人気はすさまじく、22年12月にはサウジ・リヤドのテーマパーク「ブールバード・ワールド」に全高33.7mのグレンダイザー像を造像したほど (*3)2000年代に人気を集めたテレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』の放送20周年を記念して公開された、同作の続編 それぞれ往年のファンたちが映画館に集まり、撮影会や鑑賞会は現地のテレビやメディアでも取り上げるほど盛況。少しネタバレになってしまいますが、『ガンダムSEED FREEDOM』のあるシーンでは、「ズゴック! ズゴック!」と歓声が響き渡り、ガンダムファンの盛り上がりのポイントは世界共通なんだなとしみじみしたものです。 アラブ現地のアニメ通は音声を日本語で聴いて字幕をアラビア語で読む、という方が多く、日本語がわかる私がうらやましがられました(笑)。 ■"脱・産油国"化を目指して 昨今、エンタメ関連のニュースが増えて注目度が増しているサウジや中東湾岸諸国ですが、その背景には産油国の"石油依存"からの脱却を目指した、経済の多様化戦略としての側面があります。eスポーツW杯もその一環といえるでしょう。