新トレンド「AIエージェント」でカギとなる要素は何か? 長谷佳明
マイクロソフトの関連会社であるリンクトインも24年10月、採用を支援するAIエージェント「Hiring Assistant」をリリースした。Hiring Assistantは、面接対象者へのスケジュールを調整したり、フォローアップのメッセージのドラフトを作成したりするなど、採用担当者に代わり煩雑な作業をする。 AIエージェントに関しては、9月以降、さまざまな企業がリリースを出しており、AIエージェントが新たなトレンドになり始めている。 ◇中国では個人向けをすでに実用化 セールスフォースやマイクロソフトの開発するAIエージェントは「業務用」だが、一般消費者がスマートフォンにインストールして利用する「コンシューマー用」については、中国がすでに実用化している。 24年9月、アリババドットコムを運営する中国のアリババグループ傘下の金融子会社アントグループは、AIエージェント「支小宝(ジーシャオバオ)」を公開した。 支小宝は、アントグループの決済アプリ「支付宝(アリペイ)」のプラットフォームに構築されたミニプログラムと連携し、ユーザーの目的に応じて、レストランの予約やタクシーを手配するなど、日常生活の課題を一気通貫で解決する。支小宝の登場により、用途に応じてプログラムを使い分ける時代から、AIエージェントがあらゆるサービスをつかさどる新時代へ進み始めたといえる。ゲイツ氏のAIエージェントによってほとんどのアプリが置き換えられるとの予測は、欧米ではなく、AI実用化に長けた中国でいち早く花開くことになった。 ◇AIエージェントの価値の源泉とは では、AIエージェントの勝敗を決するものは何か。生成AIの急激な進化により、AIは私たちの言葉への理解を各段に向上させた。AIエージェントの実用化には、生成AIは欠かすことができないが、今や生成AIのモデルはメタ・プラットフォームズなどが開発するオープンモデルから、オープンAIなどが開発するプロプライエタリモデル(非公開モデル)まで、その気になれば、基盤となる技術は、どの企業も利用できる。本質的にモデルの優劣は、AIエージェントの差別化要因にはならない。