うまいラーメンを作るだけでは「1000円の壁」は越えられない… 亀戸の若手店主がこだわる“味5割・伝え方5割”
「いざこの店がなくなったとしても誰も困らないだろうなと思うんです。今はスマホで注文すればおいしいものが何でも届く時代ですし、レシピもネット上にいくらでも転がっています。その中で、個人店にしかできないことを探していきたいです。私には『自分のラーメンで人を幸せにしたい』という夢があるので、このお店がどうやったら社会に必要とされるのかという社会的意義を考えていきたいんです。そうしないと個人店は生き残れないと思います」(藤﨑さん) 今までのラーメン店では体験できない食事体験や、家で食べるラーメンとは明らかに違うクオリティのラーメンを目指していく。ラーメンを通して、人々が今まで知らなかった世界観を作り上げていきたいという。 そこには、ラーメン屋という職業自体を他業種に負けないレベルにしていかないと、優秀な人材がラーメン業界には来ないという危機感もある。 「すべてを向上させていくことで、次のレイヤーが見えてきます。大好きなラーメンの次の可能性を見つけるために、できる限り努力していきたいと思います」(藤﨑さん) 若き店主の並々ならぬ思いに胸がいっぱいになる。ラーメン界の未来を考える店主の紡ぐ一杯は、その努力の結晶なのである。(ラーメンライター・井手隊長) ※AERAオンライン限定記事
井手隊長