うまいラーメンを作るだけでは「1000円の壁」は越えられない… 亀戸の若手店主がこだわる“味5割・伝え方5割”
1年間で「まるは」グループのいろいろな店舗に行かせてもらい、白湯系から清湯系まで広く学び、エリアマネージャーにお店の運営についても教えてもらった。1年経ち、店の先輩に「清湯の専門店に修行にいきたいです」と相談すると、同じ千葉の「とものもと」が移転で人を探しているかもしれないと繋いでくれた。ここから「とものもと」での修行が始まる。 「『とものもと』は“お客さんを大事にしよう”という気持ちが滲み出ているようなお店です。ラーメンの作り方、接客、そして商品すべてに『とものもと』が入っています。味ももちろんですが他のいろんなところに魅力を感じるお店でした」(藤﨑さん) 「とものもと」での1年7カ月の修行を終え、いよいよ独立に向けて動き出した。物件を探すうちに、魅力的な内装を手がける会社を見つけた。山翠舎という古民家の解体をしている会社で、昔使われていた古木や柱を利用したその内装に藤﨑さんは惚れ込んだ。山翠舎に物件探しも含めてお願いし、亀戸の物件を見つけた。駅から少し離れた場所だったが、うまいラーメンを作ればお客さんは来るだろうという自信があった。 こうして2022年9月「麺 ふじさき」はオープンした。スープに鶏と水しか使っていないいわゆる「水鶏系」のラーメンで、高級感溢れる一杯を提供する。 プレオープンの時からお客さんは集まり、ラーメンファンや「とものもと」の常連客、地元のお客さんなどたくさんの人が集まった。しかしオープン景気は終わり、年明けから一気に売り上げが落ちていく。春頃まではなんとか耐えたが、このままではダメだと藤﨑さんは次の手を考えはじめる。 「水鶏系を辞めることにしました。まずは昆布を加えその後貝柱や乾物などを試していきました。ひとつずつうま味のデータを取り精度を高め、夏からは豚を試しました。何度で何時間炊くとどうなるのか、どれぐらいの量を炊くと良いのかなど失敗と成功から具体的なデータを取って抽象化していく作業を続けていきました」(藤﨑さん)