大ヒット商品から珍品まで 大阪で「昭和レトロ家電展」
大ヒット商品から珍品まで 大阪で「昭和レトロ家電展」 THEPAGE大阪
昭和30年代の懐かしい家電製品を集めた「昭和レトロ家電展」が、大阪市北区天神橋の市立住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」で開かれ、連日、来館者でにぎわっている。時代を代表する大ヒット商品から、アイデアは良かったものの市場に出回ることの少なかった「幻の珍品」までバリエーションに富み、世代を超えて刺激を与えており、訪れた子どもらが父親に「これなぁ~に」と質問攻めにする姿も多くみられた。会期は14日まで。
「テレビのチャンネルや電話のダイヤルを初めて見た」
同館の研究員を務める増田健一さんが収集してきた昭和家電コレクションを展示するもので、同館恒例の人気イベント。2000点におよぶ膨大な増田コレクションの中から、居間や台所など生活シーンごとに家電や生活道具を選んで陳列し、往時の暮らしぶりがよみがえってくる構成になっている。 昭和30年代に育ったシニア世代なら、気になる商品を見つけると、もう動けない。たとえば、洗い終えた衣類の水分を絞り出す手動ハンドル付きの洗濯機の前で、「そうそう、このハンドル回して水分を絞ってね」「子どもが手伝うと、けっこう力がいるのでたいへんやった」などと、思い出話に花が咲く。 一方、21世紀生まれの子どもたちには、未体験の冒険ワールドらしい。小3女児は「テレビのチャンネルも、電話のダイヤルも初めて見ました」と打ち明ける。食事の再現コーナーでは、家族で囲むちゃぶ台が小さく、部屋も狭かったので、「昔の人はみんな小さなかったのかなと、不思議に思った」という。それでも関心がわいてくるらしく、見慣れない商品を見つけては、同行の父親を「これなぁ~に」と質問攻めにしていた。
ウォーキング式トースター実演で「ええにおい」
会期中、増田さんが講演し、家電やチラシのスライドなどを示しながら、コレクションを紹介。30年代、「三種の神器」と呼ばれた花形家電はテレビ、洗濯機、冷蔵庫。中でも憧れのテレビに似せた商品が相次いで開発されていたという。 増田さんがテレビ型のラジオや、脚付きのテレビそっくりのガスストーブをスライドで紹介すると、会場からどもめきが起きた。テレビは高値の花。せめて気分だけでもテレビのある暮らしを感じてみたいという庶民の声に応えてのことらしい。 増田さんが30年代の「ウォーキング式トースター」を実演。食パンがトースター内のヒーターのトンネルをコンベアでゆっくり焼かれながら運ばれ、最後は皿の上に自分で落ちるという凝った様式だった。 朝食の準備をスピーディにという狙いがあったようだが、現代から見ると、なんとものんびりした雰囲気。「遅れるで」「ええにおいがしてきた」などと会場から声が上がり、大いに盛り上がった。