元GK清水慶記が挑むクラブ、スポンサーらを巻き込んだチョコレート作り。今後の指標となりそうなセカンドキャリアはどう生まれたのか
恵まれたクラブからの支援
大宮などでもプレーし、地元の群馬で昨季限りでの引退を決めたGK清水慶記が第2の人生に選んだのは、興味のあった菓子作りの道だった。現在は群馬でクラブアンバサダー、アカデミーのGKコーチを務めながら、「株式会社JOYNOTE」を立ち上げ、「よろこびをしるす。」というブランド名でチョコ作りに励む毎日である。 【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「J歴代ベスト11」を一挙公開! 大きな不安もあったという。しかし、勇気を持って行動した先には クラブ、スポンサー企業ら温かいサポートの手が待っていたという。メッセージ性に富んだ清水のセカンドキャリを紹介する(全2回/2回目)。 ――◆――◆―― 引退をリアルに感じ、自らの新たな目標を周囲へ語ることで道を切り開いた清水慶記だが、そこにはやはりクラブやスポンサーの力強い後押しが不可欠であった。 それこそ地元のクラブである群馬の温かいサポートがあったからこそ、第2の挑戦につながったとも言えるだろう。 「僕も『自分の立場になって、早くから引退後の準備をしておいたほうがいいよ』って多くの方からアドバイスをもらっていましたが、なかなか実感が湧かないものなんですよね。 当事者になって、切羽詰まって、ようやく動き出すことができた。でも話した通り、動き出せるなら早いに越したことはない。それはやっぱり伝えたい部分ですね。 それに僕は運よく地元のクラブに帰ってくることができ、お菓子作りにチャレンジしてみたいとクラブに相談したころ、前向きな返事をもらうことができた。そこはすごく恵まれていたと思います。 例えば契約上、選手の(公式試合・公式イベントに関する)肖像権ってJリーグが持っていたり、もし現役時代に何か活動をした際にクラブとの話し合いで利益を何割か渡す必要性が生じるかもしれないなど、ハードルがあったりするんです。 そこは僕らクラブに雇ってもらっている身なので、仕方ない部分があるのですが、アスリートって必ず引退が訪れ、そのあとの人生のほうが長いなかで、サッカーに全力で真摯に取り組むのは当たり前として、Jリーガーであることが、次の準備を進める際の支障になってしまうかもしれないことにどこか疑問も感じていました。 でも僕の場合、思い切って群馬に話をした時にクラブは個人事業主としてやっていいよって言ってくれたんです。そこがまず大きかったのと、スポンサーの方々にこういうことをやっていきたいっていう話をした時に、カインズさんが興味を持ってくださって、カフェブリッコというカインズフードサービスさんが運営するカフェで、共同でオリジナルマフィンの商品開発をする話をいただけました」 2022年、2023年の引退までの2シーズン、清水は試合にほぼ絡むことができなかった。それでも練習で決して手を抜かなかったのは周知の事実で、それと同時に、チョコを作って、試合前のVIPルームで配ったりしてアピールしていたという。 そのなかで清水の言葉通り、オリジナルのマフィンのプロデュースという話が浮かび、菓子作りのノウハウも学ばせてもらったという。そのマフィンはクラブハウス内にある「カフェブリッコ」でも販売されている。