“WHY 35?” テーラーメイド「Qi35」が「Qi10 2」ではなかった理由
「実は今作で一番やばいのはコアです」
では、直近である前作「Qi10」との差はどこにあるのか。 「全機種ともにフェース面の重心ポイントが下がったことで、重心より上の低スピンエリアが広がり、飛距離性能がアップしました。特に違いを感じられるのは“コア”と呼ぶスタンダードモデル『Qi35 ドライバー』で、大きく進歩したと感じる人は多いでしょう。慣性モーメントが10K超えとはいかないまでも、それに近い9000g・cm2台で、しかも前後のウエートが調整できる。調整することで今までの『LS』よりフェース面の重心をより下に持ってくることができ、投影面積が大きいのに弾道の強さが従来のLS並みに。そういう意味で、もはや全機種とも『Qi10』のパート2というニュアンスを超え、『突出した存在』という意味で、新たなネーミングが付いた次第です」
確かにこれまで『SIM』→『SIM2』、『ステルス』→『ステルス2』、『Qi10』の次は『Qi10 2』と予想できる。しかし、あえてネーミングを「Qi35」とした理由は、革新性を強調したかったからだという。 ※実際の意味は、今作のテーマである3つのFの頭文字「Form(形状)」「Function(機能)」「Fit(フィッティング)」からとった「3」と、5種類のヘッド展開「5」を組み合わせた数字。
真摯にやさしさを追い求め続けた軌跡
最後に、同名ブランドが2モデルずつ展開され、初代がややハードなアスリート寄り、2代目がやさしいアベレージ寄りというサイクルを繰り返しているイメージは、意図したものなのかを聞いた。 「ハード→やさしめ→ハード→やさしめ。では、今作はやさしめ?」とぶしつけに聞くと、高橋氏は「そんなサイクル、考えていませんよ」と笑う。 「我々はずっと飛距離とやさしさを両方とも求め続けてきました。『SIM2』から『ステルス』のタイミングで、チタンからカーボンフェースという大きな変革はありましたが、基本的に飛距離もやさしさも両立したモデルを追ってきた結果です。寛容性を高める=スピンが増える懸念点を減らすためにはどうしたら良いか? 試行錯誤を繰り返していくうちに、今作の大きな一歩が生まれました」
一年前に「正直、毎年のモデルチェンジは早すぎない?」という質問に、「毎年買い替えなくても、情報のみでワクワクしてもらうだけでもいい」と答えた高橋氏。常にユーザーの予想より一歩先をいく製品を作り続ける――。そんな同社の姿勢が、3つの「F」と5つのヘッドに込められている。さて今作は情報のみ? それとも買い替える?(編集部・内田佳)