グリーンフォークを持ってないゴルファーが多すぎる… ピッチマーク修復に対するゴルフ場の意外な見解とは?
ショットインイーグルなのにパターを手にグリーンへ
女子プロのある試合を視聴していたところ、パー5で岩井明愛選手がピンまで69ヤードの第3打を58度のウェッジのコントロールショットでカップに直接入れてショットインイーグルを達成する場面を見かけました。ボールがカップに吸い込まれた瞬間、岩井選手は両手を上げて喜びを表現し、キャディーや同伴競技者とハイタッチして喜びを分かち合いました。 【動画】ホントにパターを渡してる!? 岩井明愛の鮮やかすぎるショットインイーグル これが実際の映像です その後の岩井選手の振る舞いがとても印象的でした。キャディーが差し出したパターを受け取り、パターを手に持ってグリーンへと歩いていったのです。ボールはカップインしていますから、パットを打つ必要はありません。それなのにパターを手に持ったのはボールがグリーンに着地したときにできたピッチマーク(グリーン表面のへこみ)を直すためでした。
ピッチマークをキレイに直すには、グリーンフォークで地面が盛り上がった箇所をくぼんだ部分にかき寄せてから、パターヘッドの平らな部分でトントンと押さえつけます。そうすると元通りの平らな状態になります。 アマチュアがショットインイーグルを達成することなんてほとんどありませんが、もし同じようなシーンに直面したら、一目散にグリーンへと駆け上がり、ボールがカップに入っているのを確認し、得意げにボールを拾い上げるはずです。 そして同伴者にスマートフォンを渡し、その様子を写真や動画で撮影してもらうかもしれません。パターを持ってグリーンに向かう人はおそらく1人もいないでしょう。 プロゴルファーなのでこういう場面に慣れているとはいえ、喜びに我を忘れることなく、自分のやるべきことはキチンとやる冷静な振る舞いに感心しました。
「ピッチマークを直さない人が普通」という認識
そんな振る舞いを見習いたいところですが、最近のアマチュアはグリーンフォークを持ち歩いていない人が多くなりました。その理由はマスター室前にグリーンフォークを置かないゴルフ場が増えたこと、置いてあっても使い方が分からないことです。 ゴルフ場関係者にどうしてグリーンフォークを置かなくなったか聞いたところ、次のような答えが返ってきました。 「うちのゴルフ場は以前、プラスチック製のグリーンフォークを置いていましたが、SDGsの観点から廃止しました。そのときにステンレス製のグリーンフォークを置くかどうかも検討しましたが、やっぱりコストがかかるんですね」 「したがってうちのゴルフ場はグリーンフォークを置いていません。お客様にはゴルフショップで購入していただくか、他のゴルフ場に置いてあるのをキャディーバッグのポケットに入れておき、再利用していただく形になります」 「それなのにクラブハウスには『ピッチマークを直してください』というマナー啓蒙ポスターが貼ってありますから、『ちょっと矛盾しているな』と個人的には感じます。ですからピッチマークを直してくださる方はありがたいお客様で、ピッチマークを直さない方は普通のお客様という認識です」 ゴルファーサイドの話を聞くと、ピッチマークの修復方法のポスターを見てもグリーンフォークの使い方がよく分からないという声が多いです。 「グリーンフォークの使い方のポスターを見ると、『グリーンフォークの先端を持ち上げるのは誤りです!』『芝の根が切れてしまいます!』みたいなことが書いてあるんですよ。見よう見まねで間違った直し方をしたら、他の方にご迷惑をおかけするかもしれないので、『それだったらやらなくてもいいか』という考え方になってしまうのです」 ジュニア時代からマナーを教わってきたプロと、大人になってからゴルフを始めたアマチュアでは、知識と経験の差があるのは仕方がないことです。しかし、ピッチマークの直し方やバンカーのならし方などゴルフ場特有のマナーは、実際にプレーしながら学ぶ機会があればいいのにと感じてしまいます。
保井友秀