オーブン不使用でもジューシーでぷりっぷりな本格味! きじま流「フライパン ローストチキン」
テレビや雑誌を中心に活躍する料理家のきじまりゅうたさんが、料理の基礎やコツをご紹介! 調理がラクになるちょっとしたコツや、料理が飛躍的に上手くなるノウハウ、誰も教えてくれないマル秘テク、目からウロコの簡単レシピなど「料理はおもしろい」ことを伝えたいと語るきじまさんのyoutubeチャンネル「きじまごはん」から、編集部厳選の記事をお届けします。 【画像で確認】えっ、そんなに簡単に作れちゃうの?「ソミュール液」の正体は… クリスマスにお正月、忘年会に新年会! なにかと人と集まる機会の多いこの季節、いつもとちょっと違ったご馳走メニューを用意するのはいかがでしょうか? 材料はスーパーで売っている普通の鶏肉とニンニク、調味料だけというシンプルな料理ですが、いつもよりちょっとだけ手間と時間をかけるだけで、お店で食べるような本格的なローストチキンに仕上がるんです! おうちで手軽に味わえるフライパンローストチキン、ぜひ作ってみてください! ■オーブン不使用でもジューシーでぷりっぷりな本格味!絶対に試してほしい「ソミュール液」 今回は、フライパンで焼く本格的なローストチキンの作り方を紹介します。オーブンで焼いたようなカリカリジューシーな仕上がりにきっと驚くはず! チキンソテーとの違いは「ソミュール液」に漬け込むこと。焼き方にコツがいりますが、丁寧に作れば誰でも簡単に作れます。ぜひ参考にしてくださいね! 【材料】 鶏もも肉:1枚 ニンニク:1片 「ソミュール液」 水:200ml 砂糖:小さじ2 塩:小さじ1と1/4 ■食材の下準備 ニンニクを切ります。 まず根元を少し落として、縦半分に切り、芯を取ります。 次に鶏肉です。 350gくらいの鶏肉1枚で2人分です。 鶏もも肉は、もも肉とスネ肉の部位があるので、その境目で2等分にしてしまうと、もも肉しか食べられない人とスネ肉しか食べられない人に分かれてしまいます。 なので今回は、もも肉とスネ肉の両方が食べられるように切ります。 まず、脂身や筋などを取り除きます。やりすぎると肉が崩れてしまうので注意してくださいね。 厚みのある部分は切り目を入れて広げます。 人間も同じですが、スネの部分は筋が多いです。なのでスネの方だけ切り目を入れておきます。 1センチ間隔で、5ミリから1センチ程度の深さの切り目を入れます。 切り目を入れることで、筋が切れて食べやすくなります。 鶏肉を2等分にします。 スッと包丁を入れて、包丁を少し立てながら手前に引くと切りやすいです。 同じような大きさの鶏肉が2枚できました。 ■鶏肉を「ソミュール液」に漬ける 鶏肉を「ソミュール液」に漬けていきますよ! 「ソミュール液」とは、ローストチキンや燻製を作るときに肉を漬ける調味液のことです。 名前だけ聞くと難しそうに聞こえると思いますが、すごくシンプルなんです。ではソミュール液を作っていきますよ! 塩小さじ1と1/4 砂糖小さじ2 水200ml ソミュール液は、塩と砂糖と水だけ! 混ぜるだけなので簡単ですよね。でも実は割合が大事で、水と漬け込む材料を足したの重さの1.5%の塩を入れます。砂糖も塩と同じかちょっと多いくらいの量を入れます。僕はこの割合で作っています。 ソミュール液にはスパイスやハーブを入れてもおいしいんですが、今回はシンプルに塩と砂糖と水だけにしました。 ソミュール液に鶏肉を漬けます。 鶏肉と一緒にニンニクも入れます。 空気を抜いて縛ります。袋の上からもみもみして、全体を馴染ませます。 このまま冷蔵庫に入れます。最低でも6時間、できれば24時間漬け込んでください。 ソミュール液に漬ける効果としては、肉にしっかり味が染みること。そして、浸透圧で肉の余分な水分が抜けつつも、水の中で漬けているのでジューシーな仕上がりになることです。 今回は鶏もも肉で作りますが、胸肉で作ってもおいしく仕上がりますよ! 24時間漬けた鶏肉の汁気を拭き取っていきます。 鶏肉をペーパーの上に広げ、丁寧に拭いていきます。しっかり拭き取ってくださいね! ペーパータオルを敷いたお皿の上で30分ほどおき、常温に戻します。一緒に漬けたニンニクも並べておきます。 室温に戻すと同時に、肉の表面が乾くので、皮目がカリッとしやすくなります。 フライパンを使った焼き方を紹介していきます。 フライパンにサラダ油大さじ1/2入れます。 冷たいフライパンに肉の皮目を下にして並べます。空いたところにニンニクも並べます。コールドスタートで焼いていきますよ。 フライパンを火にかけ、中火で4~5分焼いていきます。 肉が水分を吸っているので、油がはねやすいですね。 焼き始めて4~5分経過しました。 油と水分を拭きながら焼いていきます。「ソミュール液」に漬けたお肉をフライパンで焼くので、油ハネはしょうがないですよね~。 油と水分を拭くことで、油ハネを防ぎつつ、カリッと仕上げていきます。 焼き色がついた肉を裏返します。 裏側もすごく焦げやすいので、弱火にしてじわじわじわじわ焼いていきます。 「ソミュール液」に漬けた肉は水分を吸っているため、いつもより火通りが遅くなります。焼いている間は油や水分がどんどん出てくるので、こまめにペーパーで拭きながら焼いてください。 裏返したあと6分経過しました。 ニンニクは焦げやすいので、両面に焼き色がついたら取り出しておきます。 だいたい火が通っていれば、再び裏返します。弱火で焼いていても結構焼き色がついていると思います。 何度か返しつつ更に2分焼きます。 焼いているときの香りが普通の塩焼きとは違うんですよね~。ローストチキンの匂いがちゃんとしています! 皮もパリッと仕上がっておいしそうですね。これで盛り付けていきますよ。 「フライパン ローストチキン」の完成です! ■試食 いただきまーす! うますぎる…! なにも知らずに食べたら、オーブンで焼いたローストチキンだと思いますよ! 「ソミュール液」に漬けることによって臭みが抜けて、中までしっかり味がつき、水分を吸ったことでジュワッとジューシーな仕上がりになっていると思います! 皮目がカリッと仕上がっているのは、出てくる水分を丁寧に丁寧に拭いたおかげですね。 クリスマスやパーティーなどのおもてなしメニューにぜひ作ってみてください! 今回、教えてもらった「フライパン ローストチキン」について、気になるポイントをきじまさんに伺いました。 __味付けは「ソミュール液」のみなんですね! 「ソミュール液」という名称を初めて聞いたのですが、普通の下味との違いはなんでしょうか? きじまさん:水に溶けているため、肉に直接調味料をまぶすより味が均等に入ります。水分があるので塩分・糖分の濃度が低く、漬ける時間はかかりますが、肉の中心までじんわり味が染み込みます。更に肉に水分が入りジューシーに仕上がります。「ソミュール液」は「ブライン液」とも呼ばれていますよ。 __一晩寝かせたお肉の水分をとったあと室温に戻すのはなぜでしょうか? せっかちなので、すぐに焼きたくなります。 きじまさん:冷たいままだと、表面は焼けても中心が生焼けになりやすいので、中心まで室温に戻します。また皮の部分が乾くので、よりカリッと焼き上がります。 __お肉と一緒に盛り付けていた付け合わせもおいしそうでした! 付け合わせを用意する場合はどのようなものがおすすめですか? きじまさん:鶏肉を冷たいフライパンでコールドスタートで焼き、焼き上がったらすぐに食べたいので、付け合せは焼き野菜よりは生野菜や、別の鍋で準備できるものが良いと思います。マッシュポテトやコールスローサラダがオススメです。 きじまりゅうた 料理研究家。 祖母と母が料理研究家という家庭に育つ。 オリジナリティあふれるレシピと、わかりやすいトークを武器に、男性のリアルな視点から考えた「若い世代にもムリのない料理」の作り方を提案。現在は「NHKきじまりゅうたの小腹すいてませんか」「NHKきょうの料理」「NHKあさイチ」「CBCキユーピー3分クッキング」などのテレビ番組へのレギュラー出演をはじめ、WEB・雑誌 上でのレシピ紹介や、料理教室やイベント出演などを中心に活動している。著書も多数。youtubeチャンネル『きじまごはん』を配信中。 取材・文=ジョッキー