50代は「その方法があったか!」を口癖に 日常の業務ですぐ取り組めて、組織変革を促す5つのアクション【30~50代の年代別】
要注意ワードは、若手や女性に対する「うちの子」や、取引先に対する「下請け」「業者」。そして、おなじみの「上司」「部下」も見直したい言葉だと指摘します。 沢渡「『上司様』なんて言われると、なんとなく偉くなった気がしてしまうものです。それがハラスメントやコンプライアンス違反を生みやすくする組織も多く見てきました。 言葉は人の気持ちに影響を与えますから、普段の呼び方から気をつけていきましょう。本書でも『上司』『部下』はほぼ使わず、『マネジャー』『メンバー』に置き換えています」
「相手の気持ちを下げない言葉を使う」に関連するものとして、沢渡さんは「偉そうな態度をやめさせる」を挙げます。 沢渡「業界、業種によってはヒエラルキー構造が強く、『上司が絶対的に偉い』『お客さまは神様だ』という態度で、立場が違う人や取引先に対し、悪気なく不快な行動を取ってしまう例を多々見てきました。 そうした行動があらゆる業界でコンプライアンス違反を誘発し、社会の信頼を失う事態につながっているように思います」
上から目線の態度は改めたほうがいい。その通りではあるものの、直接指摘はしにくいもの。 そこで沢渡さんが推奨するのが、フラットな関係性や相手にリスペクトを持った仕事の進め方を称賛すること。それによって「上から目線はやめたほうがいい」という空気を醸成する方法です。 沢渡「『〇〇さん(部長や課長の名前)のお取引先との接し方、丁寧ですてきです』『業者ではなく、パートナーさんって呼び方いいですね』、あるいは『他社の営業部長さんが来社されたとき、メンバーの私にも敬意を持って接してくれてモチベーションが上がりました』など、気持ちの良い行動に対してポジティブな声を上げてみてください。 誰かを責めることなく、雰囲気を変えていけると思います」
解決したい課題やテーマが複雑化するほど、さまざまなプレーヤーや専門家と連携する必要が生じます。 ただ、世代や属性によって価値観は異なり、子育てや通院、通学など、ライフステージによって制約条件もさまざま。多様な人たちと共創し、成果を出すには、それぞれの立場や制約条件、見えている景色を共有し、交渉するプロセスが欠かせません。 沢渡「お互いにコミュニケーションを取り合い、『自分はこうありたい』と交渉することで、相手の景色が見えてくる。 その上で変えてもらいたいところは変えてもらい、自分も変えていく。そうやって譲り合いをしなければ、共創はうまくいきません」 たとえ同じ社内であっても、経営陣、部課長、現場の担当者など、立場に応じてそれぞれが見ている景色は異なります。つまりあらゆるビジネスパーソンにとって交渉は必須のアクションですが、「それができる人は少ない」いいます。 沢渡「上長や顧客から言われたことを理不尽な思いを抱えたまま何も言わずに無理して(なおかつ一人で抱えて)やってしまう人は多いです。 うまくいかない場合に残業してカバーしたり、最悪の場合は炎上してしまったりするけれど、より良い方法やリスクがあると思うなら交渉していいんです。まずはその意識を持ってください」 たとえば体力面や家庭の事情などで毎日出社するのが負担になり、仕事のパフォーマンスが発揮できないと思うなら、「テレワークなら対応できる」と上長に伝える。