「ディオール」の名香“ミス ディオール”展覧会リポート 貴重な初代作から日本初公開ドレスまで
世界限定150個の“ミスディオール”と“シルクの部屋”
フランスのビジュアルアーティスト、エヴァ・ジョスパン(Eva Jospin)とコラボレーションした、世界限定150個の“ミス ディオール パルファン”(200mL、167万2000円)を展示した空間は、インドの工房で熟練の職人と女性が手作業で施した刺しゅうで花々を描いた。ジョスパンとはマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)が手掛ける「ディオール」の2021-22年秋冬コレクションでも協働している。中央の“ミス ディオール”のボトルのリボンからトランクのボックスまで、花々の繊細な刺しゅうに溢れている。
香りに包まれ、クチュールドレスの中へ ドレスのようなチュールに包まれたホールには、1949年に発表したドレスのレプリカを置いた。ドレスの周りには花のオブジェを設置し、ボタンを押すとクルジャン=パフューム クリエイションディレクターがセレクトした花々の香りが広がる。ディオールが愛したグラース産のジャスミンやチュベローズ、オレンジブロッサムが香り、プロジェクションマッピングが幻想的な空間を演出する。
ムッシュ・ディオールのひらめきに迫る
続くエリア“クチュール ボウ”ではピンクのリボンに招かれ、ムッシュ・ディオールのインスピレーション源を探っていく。実は当初、“ミスディオール”は“コロール”という商品名だった。しかしより良い名前はないかと考えていたディオールの元を訪れた妹のカトリーヌが「ほら、ミスディオールよ」と声を掛けられたことがきっかけとなり、現在の名前が決まった。カトリーヌはレジスタンス運動家でありながら、兄のディオールと花への愛情を共有。兄妹は花に人生を捧げようと切り花の販売などのビジネスを始めた。会場にはカトリーヌのポートレートや麦わら帽子などを展示し、親密だった2人の関係性を紹介する。ハリウッド女優からモナコ公妃となったグレース・ケリー(Grace Kelly)や女優の京マチ子の写真、ディオールによるデッサン画なども展示する。