「唐揚げ」 ではなく「空上げ」、 愛知県の小牧市が 「航空自衛隊の名物料理」で狙う町おこし、「海自カレー」「ミリメシ」を超えられるか
小牧基地のレシピを忠実に再現する必要はなく、米粉を使ったグルテンフリーの唐揚げであり、甘辛いタレを使うこと、地産地消という観点から愛知県産の醤油やみりんを使うことが条件。愛知県は醸造が盛んな土地でもあるため、決してハードルは高くない。それ以外の部分、例えば下味の味付けや味変アイテムは認定店ごとにアレンジできる。 ■甘辛ダレに負けない鶏のコクと旨味 次に訪れたのは、肉や魚介、野菜、調味料に至るまで、すべて天然ものや農薬不使用にこだわった自然派レストラン「シェ シュシュ」。オーナーシェフの清水勝久さんはもともとフレンチのシェフだが、生産者たちの想いを伝えるべく、食材そのものの美味しさを追求し続けているうちに料理のジャンルにこだわりがなくなってきたという。
「小牧商工会議所から空自空上げの話を聞いて面白そうだと思って作ってみました。認定されたのは昨年10月です」と、清水シェフ。 目の前に運ばれたのが「空自空上げ定食」。メインの空自空上げは、徳島県産の神山鶏。たっぷりのサラダは、契約農家から届けられた10品目以上の野菜を使用。小鉢やご飯、味噌汁も付く。 空自空上げを頬張ってみて驚いた。神山鶏のコクと旨味が甘辛ダレに負けていないのだ。むしろ、タレやスパイスが鶏の旨味を引き出しているように思えた。そして、店の名物といわれるこだわりの一品でもあるサラダも野菜そのものの味が濃厚で、口の中に広がった辛さをリセットしてくれる。たしかに唐揚げであるのは間違いないのだが、食べ慣れているジャンキーなそれとはまったくの別物である。少し残念(? )なのは、毎日提供していないことだ。
「店には『空自空上げ定食』以外でお米や味噌汁が付くメニューはないんです。お米を玄米から精米したり、味噌汁の出汁をとるために昆布を水に浸け込んだりと手間がかかるため、週に1回のペースでしか提供できないんです。店のFacebookページなどSNSで告知を行っています」(清水シェフ) ■ふるさと納税の返礼品として商品化 小牧基地の空自空上げは、小牧市まで来なければ食べることができないのかというと、そうではない。小牧市のふるさと納税の返礼品として商品化を企画中で、その製造を手がけるのは「デリカ食品工業」。焼鳥や唐揚げなど鶏肉の加工を主とした食品加工会社だ。