日比谷野音ライブまであと数週間――。結成35周年を迎えるガールズパンクバンド・ロリータ18号の35年の変遷を辿る
「35年前の16歳が52歳になったステージを楽しんで欲しい」
――そんな変遷を経て、あと数日で日比谷野外大音楽堂での公演を迎えるわけですが、これはどうしてですか? マサヨ 元々「お客さんの動員を増やしたい」「いつか武道館のステージに立ちたい」といった野望みたいなものはまったくなかったんですけど、でも野音だけは別なんです。さまざまな伝説のある会場であるだけでなく、リアルタイムでCOBRA、KENZI & THE TRIPSといったバンドをよく観に行った思い入れの深い場所なので。 たこち その思い入れがクジを引き当てたっていう(笑)。 マサヨ そう。野音って公営だから、いくらお金を積んでも貸してもらえない場所で、抽選会に行ってクジを引いて当たった人が使わせてもらえるんです。それでまさかの当選を獲得してロリータ18号のライブをすることになりました。ここまで話をしてきた通り、いろんな経緯があって今に至るロリータ18号だけど、お客さんたちから「“35周年おめでとう”と言って欲しい」というワガママを唯一お願いしたいんです(笑)。 ――当初は「他人には迷惑をかけたくない」という思いが強かったマサヨさんが、そんな風に思えるようになったのも、ある意味達観した感じがありますね。 たこち それもそうだけど、「楽しむ」「打ち上げで良いお酒を飲みたい」っていうことを突き詰めた結果が、野音に至った経緯だとも私は思っているので。 マサヨ そうだね。35年を振り返ってみると、「三つ子の魂百まで」じゃないけど、基本的な考えは何も変わっていない。でも、それを突き詰め続けてきたロリータ18号の集大成が野音になると良いなと思っています。 ――客観的にロリータ18号の35年を振り返ると、「自由を突き詰めた35年」だったようにも感じます。「自由」であるためには、責任や苦労が伴い、なんの導きもない中でアレコレと模索し続けなければいけませんが、そのアナログ的に成長した感じは、一見「なんでも分かる」ように思える今の時代ではかなり貴重だとも思います。 マサヨ そんな自覚はないけどね(笑)。でも、あと数日の野音が35年間の集大成的なステージになることは確か。ここまで大きな夢と大きな会場のロリータ18号は、今度の野音が最後かもしれない。そう考えると、私にとっては「冥土の土産」です。 たこち 別に死なないし、バンドも続けるけどね(笑)。 マサヨ うん。でも、「16歳が52歳になったステージ」にはなるはず。ぜひ多くの人に楽しみに来てもらえたらうれしいです。 Text:松田義人(deco) <ライブ情報> 『ロリータ18号結成35周年記念日比谷野音ワンマンショウ「ロリータ35年」』 11月24日(日) 東京・日比谷野外大音楽堂 開場16:00 / 開演17:00