日比谷野音ライブまであと数週間――。結成35周年を迎えるガールズパンクバンド・ロリータ18号の35年の変遷を辿る
メンバー全員解雇? リスタートを目指した時代
――着実にバンドとしての評価を得て行きながらも、2018年にはたこち、ちーちゃん、キックをマサヨさんが全員「解雇」します。濃厚な10年を経て、何か心境の変化があったのでしょうか。 マサヨ 解雇じゃないんですけどね(笑)。「楽しい打ち上げがしたい」っていうのは変わらないけど、でも、そのために良いライブをすることにこだわり過ぎてピリピリし始めて。それで、いったん私ひとりになりたいと思うようになって、メンバー一人ひとりと話して。 ◆ロリータ18号・解雇期~再々構築期(2017~2024) 2017年、石坂マサヨがそれまでのメンバーを全員「解雇」。以降、サポートベーシストにヒロティ、サポートドラムにまつだっっを迎えしばし活動。後にドラムに吉村由加といった経験値の高いプレイヤーをメンバーに迎えた一方、若手のもりみをギターに迎え、さらなるバンドの飛躍を目指すことに。2021年にベーシストに中西智子が加入するも2021年に脱退。後に盟友・たこちが再加入する一方、もうひとりのドラマーとして中野良子もメンバーに加わり、「ドラムがふたりいる」という前代未聞のバンド編成に。 そんな中で、結成35周年を迎える2024年に日比谷野外大音楽堂の公演を決定。パンクシーンはもちろん、メジャー期にお茶の間を賑わした際のファンの間で、大いに話題になった。 たこち 一度ロリータ18号を抜けるときは完全に「終わった感」があったけど、それからgyouninvenというバンドにベースで参加して、客観的にロリータ18号を考えると、「大変だけど良いバンドだな」と改めて思って見ていました。サポートベースのヒロティや中西智子さんもカッコ良かったし、「彼女たちのほうが良いな」と思っていたんだけど、脱退から数年経って改めてマサヨと会ったら、やっぱり言葉では言い表せない、マサヨと私だけに分かるツボみたいなところがあって。それで再度意気投合して、gyouninvenと並行してロリータ18号に再加入することになりました。 マサヨ 一度離れたたこちには申し訳なかったけど、でもあそこでいったんリセットしたからこそ、お互いの思いを冷静に感じられるようになったのは確か。結果的に、リセットせずにあのまま続けていたら、今のロリータ18号の状況は作れていなかったとも思うし、まして「野音でやる」みたいな発想にはならなかったと思う。 たこち 今はすごくバンドが良い状態で、具体的なバンドの活動がない日も、毎日が楽しく過ごせているからいいよね。この感じで野音のライブができればいいなと思っています。 ――ドラムがふたりもいるという理由は? マサヨ 「どっちか選べない」という単純な理由なんですけど(笑)、でも以前の私なら、そんな曖昧なメンバー構成は絶対に許せなかった。「バンドはこうあるべき」みたいなものを強く持っていたからね。でも、あの「全員脱退」を経て、「そんなに気張らなくても、自由にやっていいんじゃないか」とも思うようになって。ここまで続けてきたのだから、もう「ヤメる」とか「ヤメない」とかもないし、本当の意味でバンドを楽しめるようになったと思っています。