「2年に及ぶ反抗期は猫と共に突然終わり」濱田マリ(55)成人したひとり娘との心地いい関係「娘の彼氏と3人で食事も」
──本当に仲がいい親子なのですね。 濱田さん:ただ、親子としてつき合っているぶんにはいいけれど、娘が自分の彼女だったらうんざりしそう(笑)。娘の彼氏さんが、私に対して「甘やかしすぎ」って感じているのではないかなって心配です。私自身、自分の母に甘えすぎたかなっていう申し訳ない気持ちもあって。でも自分が甘えられるのは、友達でもなく、父親でもなく、きょうだいでもなく、母だけで。母にとっては、私が甘えすぎて大変だったかもしれないけれど。でも、母と娘って唯一の関係性ですよね。
──いくつになっても、親にとって娘や息子は子どものままなのかもしれません。 濱田さん:そうですね。無理なのはわかっているけれど、かわいかった3歳のころや、中学で部活を頑張っていたころに、一瞬だけでもいいから戻ってくれないかなって想像します。今はもう小さかったころのかわいさはゼロなので。でも大人同士だからこそのメリットもあって。今は服のサイズが同じなのでクローゼットを共用していて、私も娘の服をたまに拝借したりします。娘が私のクローゼットから「これ借りるね」って持っていくこともあって、自分のセンスを認められた気がして「よし!」ってうれしくなりますね。
── 母と娘を超越して友達のような関係ですね。 濱田さん:思えば、娘が高校2年生のときに短期間のホームステイに行くことになり、そのときは私のほうがギャーギャー泣きました(笑)。でも今は「いつかこの人は結婚をして家を出ていくかも」っていう心構えができている。自分の子育てスタイルはいいかげんかなっていう自覚はあったけれど、それでもなんとかやってきました。だから育児って、自己採点が60点くらいでいいんじゃないかな。世間のママたちの話を聞いていると、ちゃんとしすぎていて肩身が狭いわ~って感じます。
実は、私の育児エッセイの連載100回記念に、娘に原稿を書いてもらったことがあったんです。娘が締切を守らないから、私が「先生、原稿をお願いします」と下手に出て、やっと書いてもらって(笑)。その原稿に「私も母のような愛の深い女性になりたいです」と書いてあるのを読んで、すごくうれしかった。「愛情深い」ではなくて「愛の深い」っていう言葉を使っているところが特に。そんなふうに思っていてくれたのねって実感できて、感動しました。
PROFILE 濱田マリさん はまだ・まり。1968年生まれ、兵庫県出身。1992年、「モダンチョキチョキズ」のボーカルとしてメジャーデビュー。1997年にバンド活動停止後は俳優として活躍し、NHK連続テレビ小説『マッサン』『カムカムエヴリバディ』など、数多くのドラマや映画に出演。2021年からは「モダンチョキチョキズ」の活動を再開。 取材・文/池守りぜね 撮影/CHANTO WEB NEWS
池守 りぜね