債券は上値重い、植田日銀総裁会見で利上げに前向きな発言を警戒
(ブルームバーグ): 20日の債券相場は上値の重い展開。日本銀行の植田和男総裁が金融政策決定会合後の会見で追加利上げに前向きな発言をすることへの警戒感が重しとなっている。先物は夜間取引で底堅く推移した流れを引き継ぎ、買いが先行した後、小幅安に転じる場面が見られた。
BNPパリバ証券の井川雄亮マーケットストラテジストは、大幅利下げを受けた米ソフトランディング期待が日本経済にもプラスと考えられる中では、 日銀見通しの蓋然(がいぜん)性が高まっているようにもみえると指摘。「総裁会見では見通しの確度が高まれば追加利上げも実施されると確認するのだろう」との見方を示した。
ブルームバーグがエコノミスト53人を対象に実施した調査では、全員が今回の日銀決定会合で政策据え置きを予想した。7月利上げ時の植田総裁のタカ派的な発言が8月に金融市場が混乱する一因となった経緯もあり、金融政策運営を巡る市場との対話戦略に注目が集まっている。植田総裁は午後3時半から記者会見を行う予定だ。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ転換が米経済のソフトランディングに寄与するとの前提で、植田総裁がタカ派姿勢を強めた場合、「追加利上げの織り込みが進み、弱材料になる可能性がある」と述べた。
全国CPI
総務省が発表した8月の全国消費者物価指数(CPI)によると、生鮮食品を除くコアCPIは前年同月比2.8%上昇、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIも同2.0%上昇と伸びが拡大した。いずれも市場予想と一致し、債券相場への影響は限定的となっている。
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Hidenori Yamanaka