電動ドライバー刺し大便食べるよう強要 知人を殺害し切断…カップルが凶行に至るまで【宮城発】
ずさんな遺棄 逃避の果てに通報
2人は男性を殺害後、近くの量販店でチェーンソーやキャリーケースを購入。浴室で遺体を切断し、キャリーケースに入れてタクシーで沿岸部へ運び、土の中に埋めた。 前田被告の供述調書によれば、「海に沈めることも考えたが、浮かび上がったら困る」として遺体の切断を決めたが、前田被告自身は途中で耐えられなくなり、仮眠をとっている間に山口被告が切断した遺体をキャリーケースに詰め、浴室の清掃も終えていたという。 2人は事件後、男性の友人を脅すなどして得た105万円を元に、ホテルを転々として暮らすようになった。その中で、前田被告が急性肝炎で男性の健康保険証を使い青森市内の病院に入院。退院予定日に男性の父親と兄が見舞いに訪れた。一度はやり過ごすが、「二度目はばれるだろう」と考えた前田被告は自首を決意。12月29日、病院から110番通報して一連の事件が明らかとなった。
カップルが凶行に至ったわけ
初公判は前田被告が体調不良を訴えて途中で終了となったが、8日後の2回目の裁判には再び出廷し、前田被告への被告人質問が始まった。前田被告は男性に対し、同居を続けたくないと伝えたときの様子をこう語った。「(男性は)僕のことを好きなので一緒に居させてくださいと言った。嫌な気持ちもありましたが、僕も弟みたいにかわいがっていたのでうれしいという気持ちはありました」さらに男性に対して思うことを聞かれると「本当に申し訳なく、すまないことをしたと思っています」と答えた。 前田被告と山口被告は2人で男性の首を絞めたとされている。どちらかが力を緩めれば、命は助かったはずだ。そしてなにより、暴行を止めることもできたはずだ。 弁護側によると、前田被告は男性を殺害してから何度か山口被告に自首を打診していたという。しかし、山口被告は「2人でいられなくなる」などと拒否していた。最終的に、山口被告の制止を振り切って自ら通報した理由を、男性のことを心配する父親の姿を見て「自分がやったことをなかったことにはできないと思いました」と被告人質問で答えた。 山口被告は争う意向を示しているため、裁判の開始が遅れている。ただ、山口被告は供述調書で、当初「私一人がやった」と警察に話した理由について「世界で一番大切な前田被告を守るためだった。これ以上、苦しい思いをしてほしくなかった」と話していたことが明らかにされた。 かつては仲が良かったという被告と被害者。誰も望まない結末になった理由は何だったのか。凶悪な犯罪という言葉だけでは語れない事件の闇がまだ残されている。
仙台放送