電動ドライバー刺し大便食べるよう強要 知人を殺害し切断…カップルが凶行に至るまで【宮城発】
繰り返し暴行 逆らえない関係に
前田被告は山口被告と一緒に男性へ暴行を加えるようになる。怖がる男性に親族や友人から金を借りさせて巻き上げ、金が用意できなくなると暴行をエスカレートさせ、肉体的にも精神的にも追い詰めていった。検察によれば、男性は前田被告に逆らうことができなくなり、アパートから出て行けと言われても、さらに暴行や虐待されるかもしれないと考え、出ていくことができない状況になっていたという。
ドライバーで刺し大便食べさせる
暴行が始まって3カ月、前田被告と山口被告の暴力は殴る蹴るだけでは済まなくなっていた。電動ドライバーの先端で足を刺してけがをさせ、「大便を食ったらアパートにいさせてやる」と男性に強要。怖がらせて大便を食べさせたという。 前田被告側は唯一、この強要については反論している。「男性をアパートから出ていかせるための条件提案だった」として、食べることは想定していなかったと主張した。アパートを出ていかない男性に被告2人がいら立ちを募らせていたのは、検察と弁護側双方が認めるところだ。果たして男性は出ていきたくなかったのか、出ていけなかったのか。この事件を読み解く上で重要なカギとなる部分だ。 最初は良好だった前田被告と山口被告、男性との関係。ゆがみ続けた結果、最悪の結末をもたらすことになった。
「部屋荒らされた怒り」2人で殺害
2022年11月10日、男性を蹴った時に足の指を骨折した前田被告は山口被告とともに病院で治療を受けた。2人がアパートに帰ると、持病の発作で倒れた男性が部屋の物を倒していたため、2人は怒りに任せ、男性の頭を床や壁に打ち付けた。それでも怒りは収まらず、タオルのようなものを男性の首に巻き付け、両端をそれぞれが持って引っ張り、男性を窒息死させた。 証拠調べで明かされた山口被告の供述調書によれば、「大切な2人の部屋がめちゃくちゃに荒らされた」という怒りがきっかけだったという。前田被告も被告人質問で「僕と優はとてもきれい好きで、いつも部屋をきれいに整頓している。部屋が荒れているのでムカつきました」と当時の感情を証言した。