奥が深い園遊会の「和装」 着物ファンが多い華子さま 懐中時計で「さすが!」の小物使いは信子さま 洋傘と着物の完璧コーデの皇族は?
天皇、皇后両陛下が主催し、東京・赤坂御苑で春と秋に開かれる園遊会。今年は10月30日に催される。女性皇族は、回ごとに和装または洋装に装いを統一して招待客をもてなすが、中でも常陸宮妃の華子さまの和装にはファンが多いという。また、着物の和装小物である「懐中時計」を帯に挟む寛仁親王妃の信子さまや、傘の色まで計算された完璧なコーディネートを見せる高円宮妃の久子さまなど、女性皇族の和装は奥が深く、見どころも豊富だ。 【写真】愛子さまの本振袖に見えた天皇家「菊紋」の写真はこちら! * * * 秋篠宮家の次女、佳子さまの園遊会デビューは、2023年5月の春の園遊会。未婚の女性の第一礼装である本振り袖に三つ紋を入れた、格式の高い装いだった。 秋篠宮家の家紋は、十四弁の菊花と秋篠宮さまのお印である栂(つが)の枝葉を四つずつ円形に連ねた意匠。佳子さまの袖には、十四弁の菊と栂の意匠が見える。 優しい色の本振袖は、洗いざらされて薄くなった柿色を表す洗柿(あらいがき)に、金彩を配した雲霞(くもかすみ)の文様。雲は雨を呼び豊作を招く吉祥柄。笹と菊、梅といった吉祥の草花を組み合わせたあでやかな柄行きだ。 はねとふくらみのあるふくら雀結びのようなお太鼓も、明るい佳子さまによくお似合いだった。帯の裏地の緑に合わせた緑の総絞りの帯揚げと朱色の帯締めの配色が、全体を締めている。 皇嗣妃の紀子さまも、秋篠宮家の家紋が入った三つ紋の訪問着をお召しになってきた。雅子さまは皇太子妃時代から、帯留めなどの装飾は身につけてこなかったが、紀子さまは控えめな真珠の帯留めや指輪を和装に取り入れている。 ■和装の華子さまにあこがれる 昭和の時代から皇室に着物をつくり、納めてきた「染の聚楽」(京都市)代表の高橋泰三さんは、常陸宮妃である華子さまの和装にあこがれる人は多いと話す。
華子さまは、旧陸奥弘前藩主の津軽家の出身。若いころから、ごく自然に和装をお召しだ。15年の春の園遊会では、羽ばたくカワセミを描いた訪問着が印象的だった。 そして23年の春の園遊会では、草花と野鳥を描き出した訪問着に、裏雲取りの菱格子柄を配した帯の取り合わせ。 「ひときわ目を引くのが、墨黒色と金の帯。こちらは本当によいお品です。華子さまのお着物はいずれも素晴らしいが、なかでも帯はぜひ皆さまにも見ていただきたい」 と、泰三さんは話す。 さらに印象的だったのは、03年の秋の園遊会でお召しだった、みずみずしい穂先を垂れる稲穂が見事に織り出された袋帯。国民の豊かな生活を祈り願う皇室が、豊穣をたたえる稲穂の帯を選ぶのは、人びとへのメッセージのようにも感じる。 そして美しい赤茶色の訪問着にも、波文様や地面に見立てた金箔に生える松の意匠が描き出されていた。 さらに泰三さんは、寛仁親王妃の信子さまも推す。 15年の春の園遊会では、染め出すのが難しいと言われる海老茶色の訪問着に、金と銀の若松が美しく大胆にあしらわれていた。 泰三さんが注目したのは、帯からのぞく組紐につながる翡翠のような玉飾り。 「おそらく懐中時計ではないでしょうか。着物の袖から時計がのぞくのは、美しくありません。和装小物として、帯に懐中時計を挟んだものです。宮妃は、皇后さまやかつての皇太子妃といった内廷皇族よりは、すこし自由なお立場のためか、帯留めや指輪を身に着ける方も多いですね」