柴田の交渉権を獲得し喜ぶ日本ハム・新庄監督（撮影・西尾　大助）

　「プロ野球ドラフト会議　supported　by　リポビタンD」が24日、都内のホテルで行われ、日本ハムの新庄剛志監督（52）が外れ1位の抽選で同じ福岡出身の福岡大大濠の二刀流右腕・柴田獅子（れお）投手（18）を引き当てた。自身の去就についても就任4年目の来季続投を明言し、同じ二刀流で成功した球団OBのドジャース・大谷翔平投手（30）のようなスケールの大きな選手に育てる意向を示した。 　外れではなく、新庄監督にとっては「当たり1位」だ。CSで敗れた同学年のソフトバンク・小久保監督と、外れ1位のクジ引きで柴田を巡って一騎打ち。自身初の当たりクジを引き、“リベンジ”を果たすと「シャーッ！」と右拳を握って感情を爆発させた。 　「凄くない？CSで負けた小久保ホークスで、この借りはなんとか返そうと（思った）。そしたら勝った。バットの軌道が大谷選手にそっくりなんです」 　今ドラフトの目玉だった明大・宗山を5球団競合の抽選で外した。だが、指揮官は球団から巣立ったドジャース・大谷と同じ右投げ左打ちの柴田に心を奪われていた。今夏の福岡大会で母校・西日本短大付と対戦したのが、福岡大大濠。身長1メートル87で最速149キロに加え、高校通算19本塁打と二刀流の可能性を秘める18歳のプレーを映像で見て「この子、欲しい！と思った」と興奮気味に振り返る。 　小村勝球団社長兼オーナー代行が抽選が2度目のクジを引く予定だったが「柴田君は僕が（クジを）引く」と直訴しての“出馬”だった。昨年は巨人・西舘のクジ引きで外れたが、運命に引き寄せられるように、同じ福岡出身の逸材を引き当て、終戦時に明言しなかった自身の去就について「うれしかった。監督続投をさせてくれた劇的なドラフト会議になった」と晴れて就任4年目となる来季続投も明言した。 　柴田は指名の瞬間こそ表情を変えなかったが、指揮官について問われると「とてもユーモアのある人」と表情をほころばせた。二刀流での起用について、新庄監督は「まだ決めていない。相談して自分がやりたい方向を決めさせる」としたが、柴田は「目標は大谷選手。活躍されていたファイターズに入れるのはうれしい。二刀流の意志も強い。（投打の）どちらも自信がある」と言い切った。 　球団も二刀流として評価しており、二刀流の“大谷ロード”の道を歩む可能性は十分にある。昨年には体の仕組みを理解するために読書をするなど研究熱心な柴田。大谷の発言をまとめた本も読み「（大谷の）“挑戦して不可能なことを可能にする”という言葉が響いた」と言う。挑戦を好む新庄監督の下で、大きく羽ばたく。（田中　健人） 　◇柴田　獅子（しばた・れお）2006年（平18）4月18日生まれ、福岡県出身の18歳。小学2年時に庄内ジャガーズで野球を始める。中学時代は飯塚レパーズに所属し、福岡大大濠では1年夏からベンチ入り。甲子園出場なし。名前の獅子は西武ファンの祖父から付けられた。憧れの選手は同校OBのオリックス・山下。1メートル87、87キロ。右投げ左打ち。