“学費値上げ”にラップで抗議する現役東大生DJ「東大の内部にいるからこそ」
DJをつかった活動での効果を実感
――法念さんは6月3日からは駒場キャンパスの生協食堂前で1週間あまり、お昼休みに学費値上げ反対を訴えるDJ活動もされていました(その後、昼休みに別のイベントが始まり現在は休止中)。なぜ始めようと思ったのですか。 法念:当初は本郷のデモに参加していましたが、駒場でも運動の一つの形をつくろうと思ったからです。 DJをつかった活動は道ゆく学生にもかなり受けがよかったですね。実際、それを受けて「総長対話」の前後の集会でも主催からDJの要望があるなど、抗議活動の一つの形として一定の効果があったと実感しています。
キャンパス構内への警察導入は不要だった
――6月21日、大学側はオンラインの「総長対話」を開催しました。そのスタイルは多くの学生が視聴する中で、経営陣が学生を指名し「昇格」させ、発言権を与えるというものでした。 法念:学生にとって相当にアウェーな場であったことは間違いなく、さらに名前や所属が参加者全員に開示される状況で手を挙げるのは、かなり勇気が必要です。もっと多様な学生がより気軽に発言できる場所をつくる配慮が必要だったと思います。 ぷらむ:学生の質問に対して、経営陣からは「検討している」という受け答えが多く、「対話」を謳いながら、実際には大学と学生は対等ではないと感じました。 ――総長対話後も、抗議活動を続けていた学生の一部が安田講堂に侵入しようとし、警備員が負傷したとして大学側は警察を呼び、後日、教養学部学生自治会が非難声明を出す事態へと発展しました。 法念:大学には国家権力等に対し自治を守ってきた歴史があり、大学は警察の導入には極めて慎重であるべきです。さらに東大の場合、学生の代表団と大学本部とが、原則として学内紛争解決の手段として警察力を導入しないという約束を含んだ確認書を1969年に結んでもいます。そしてこれまでの報道や大学の発表を踏まえると、今回の事態に際して警察の導入は不要であったと考えています。