<木材の価値は何で決まる?>「節」「木目」はどうしてできるか、枝打は多様な目的もつもコスパの悪い作業
作業適期について
前回「人工林の多様性を左右する除伐・つる切、悩ましいつるの二面性〈材質低下・労働災害と民芸品材料・花や葉の自然美〉」の除伐の節で、その適期について切り株から萌芽・再生しにくい秋から冬とお伝えした。それに対して研究者から、つる切・除伐も生物学的適期は下刈と同じ初夏から夏だとご意見をいただいた。 光合成生産物が根株に移動して再生や萌芽を助長することになっても、造林木に追いつくのには時間がかかるので、夏に除伐して少しでも造林木の成長を促した方が有利という判断だ。それと夏は下刈の全盛期で、除伐まで手が回らない労働力の配分上の都合から、秋から冬が適期となったのだと。 それも一理ある。国有林では梅雨時期の主伐は、丸太に腐朽菌やキクイムシが入りやすいので、この時期の主伐を休止して、作業職員を除伐に回していた。雨の中合羽を着ての作業を嫌がるかと思ったが、達成感があるらしく、「造林作業もやってみれば面白い」と好評だった。このように除伐に関しては、さほど適期にこだわらず労働力が確保できるときにやればよいだろう。自家山林なら土日に自分でボチボチやるのも一興である。
中岡 茂