あけおめ!? 2024年11月12日から火星の新しい1年が始まる
あけましておめでとうございます! といっても、地球の話ではありません。火星です。欧州宇宙機関(ESA)は2024年11月12日付で、火星の新たな1年が始まったことを紹介しています。 ESAが火星探査機マーズ・エクスプレスのミッション20周年記念画像を公開(2023年6月)
火星の新たな1年が始まる!
火星は多くの研究者によって長年積極的な観測・研究が行われていて、1956年の大規模な砂嵐が観測された年を火星の「1年」とする慣習があります。新たに始まるのは「38年」で、ESAによれば新年を迎える瞬間は日本時間2024年11月12日18時32分です。これは火星の北半球が春分(南半球が秋分)を迎える瞬間でもあります。 地球よりも太陽から遠いところを公転する火星の1年は、地球の1年の2倍近い687日。もしも自分の年齢を火星での年齢に換算したければ、1.88で割れば良いそうです。ちなみに筆者は20代前半になります。 また、火星の1太陽日(約24時間39分)は「ソル(Sol)」と呼ばれています。地球の1日よりも少しだけ長いので、火星の1年をソルで表せば668ソルです。
前述の通り、火星の1年は北半球の春分から始まります。火星は自転軸が公転軌道に対して約25度傾いているので季節変化がありますが、火星の公転軌道は地球のそれよりも楕円形をしている(離心率が大きい)ので、各季節の長さは均等ではありません。 北半球の場合、太陽から最も遠ざかる頃(遠日点)は夏で、太陽に最も近づく頃(近日点)は冬。南半球はその逆になります。遠日点の頃は季節が長くて太陽光は弱まり、近日点の頃は季節が短くて太陽光は強まるので、長くて寒い冬と短くて暑い夏を繰り返す南半球に対し、北半球の気候は比較的“温暖”です。 もしも住むなら“温暖”な北半球が良さそうですが、平均気温マイナス55℃の火星は地球の感覚ではとても暮らしていけません。ESAによると、夏の正午には気温が0℃に達することもありますが、夜の気温はマイナス60℃。冬の夜はさらに低いマイナス110℃まで下がります。 そもそも火星の大気は気圧が地球の約0.6%しかありませんし、主成分は二酸化炭素なので呼吸できません。人間は火星では与圧された宇宙服や居住棟がなければ生存することもできないのです。