NASA、月で氷の探査を目指していた「VIPER」ミッションの中止を発表
VIPERミッションによる月の南極周辺での氷の探査は実現しませんでしたが、別のミッションによる探査が予定されています。NASAはVIPER探査車に搭載されたものと同じ長さ1mのドリルと質量分析計を使用するミッション「PRIME-1(Polar Resources Ice Mining Experiment-1)」も進めています。PRIME-1ミッションではドリルと質量分析計を民間企業の月着陸船に搭載して、着陸地点の直下からサンプルの採取と分析を行います。探査車が開発されたVIPERミッションとは違って場所を変えながらサンプルを採取することはできないため、着陸地点の表面下に埋蔵されていなければ氷の採取・分析はできないことになります。 PRIME-1の機器はアメリカの民間企業Intuitive Machines(インテュイティブ・マシーンズ)の無人月着陸船「Nova-C(ノバC)」による月着陸ミッション「Intuitive Machines 2(IM-2)」で月面に運ばれる予定です。IM-2の着陸目標地点は月の南極にあるシャクルトン・クレーター(Shackleton、直径20.92km)付近の尾根で、打ち上げは2024年後半に予定されています。Intuitive Machinesは2024年2月の「Intuitive Machines 1(IM-1)」ミッションで民間企業として初めて月面への軟着陸に成功しており(ただし着陸船は横転した状態で安定)、IM-2ミッションは同社にとって2回目の月着陸ミッションとなります。月の南極付近への着陸に成功し、将来の有人月面探査ミッションでの利用も想定されている氷が見つかるかどうか、IM-2とPRIME-1に注目です。 Source NASA – NASA Ends VIPER Project, Continues Moon Exploration NASA – Exploration Science Program Update (July 17, 2024) (YouTube) NASA – Griffin Mission 1 (NSSDCA) NASA – Intuitive Machines 2 (PRIME 1) (NSSDCA)
sorae編集部