終電時刻が137分繰り上げの路線も…コロナ禍で終電の繰り上げが起きた「2つの理由」
人口減少日本で何が起こるのか――。意外なことに、多くの人がこの問題について、本当の意味で理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。 【写真】日本人は「絶滅」するのか…2030年に百貨店や銀行が消える「未来」 100万部突破の『未来の年表』シリーズの『未来のドリル』は、コロナ禍が加速させた日本の少子化の実態をありありと描き出している。この国の「社会の老化」はこんなにも進んでいた……。 ※本記事は『未来のドリル』から抜粋・編集したものです。また、本書は2021年に上梓された本であり、示されているデータは当時のものです。
終電時刻が137分繰り上がった路線も
コロナ禍において、多くの人に影響を及ぼしたのが、「終電時刻の繰り上げ」であった。 例えば、JR東日本や私鉄各社が相次いで実施に移した。鉄道の運行時間をめぐっては、人口減少に伴い大都市の郊外でも始発時刻の繰り下げや運行間隔を広げる動きがこれまでも見られたが、都心を走る山手線や中央線などのメイン路線の終電時刻まで繰り上がった影響は小さくない。 各社とも長きにわたって利便性を高めるべく運行本数を増やしてきただけに、百八十度の方針転換である。コロナ禍で外出自粛やテレワークが進み、経営上の決断を余儀なくされたという印象を受ける。 だが、これもコロナ禍によってもたらされた新たな動きではない。終電時刻の繰り上げについては、JR西日本が「コロナ前」から検討を表明していた。JR西日本以外の鉄道各社もタイミングを計っていたというのが実情であろう。そうでなければ、これほど短期間に多くの鉄道会社が追随するはずがない。 驚くべき事例を挙げよう。山口県宇部市を走るJR小野田線の終電時刻は、2021年3月のダイヤ改正で、実に137分も繰り上がった。小野田駅(山陽小野田市)を出発する最終列車が、22時20分発から20時3分発に変わったのである。ちなみに逆方向の最終列車も、109分繰り上がった。この路線に乗らなくては家に帰れない人たちにとって、仕事に大きな支障が出ることは明らかだ。