【毎日書評】メンタルがブレないといい結果が出せる。心臓外科医の「心を安定させる方法」
違和感を「気のせい」にしない
朝起きて、なんか今日はいつもとちょっと違う感じがするとか、今週は嫌なことが立て続けに起こるなどと思うことはありませんか? 「気のせい」かもしれませんが、そういった「自分を取り巻く“気”の違い」を感じた場合、その違和感はスルーしないほうが賢明です。(75ページより) 著者は手術当日に患者さんのもとを訪ね、手術前のそのタイミングで手をギュッと握ることを習慣にしているのだといいます。それは単なる挨拶ではなく、お互いの気持ちの確認。滅多にあることではないものの、手を握ったときに患者さんのエネルギーを感じ取れない場合には、著者のほうから「きょう、手術をするのはやめましょう」ということもあるのだとか。 「きょう、病気と闘って絶対に元気になる!」と強く意志を固めている患者さんからは、エネルギーが伝わってくるもの。しかし、ときにはそうでないこともあり、そんなときには手の冷たさだけではなく、「エネルギーの交流ができていない」と感じるというのです。 しかし、それは見放すということではありません。人間、誰にでも迷いはあります。そして、迷ったまま行動を起こしても、自らが願う結果にはたどり着けないものでもあります。だから、自分のなかの違和感を大切にするべきだという考え方。もちろん、相手から感じた違和感にも敏感になる必要があるのです。 心の揺れは、ほうっておくといずれ大きな問題となって、あなたにかならず降りかかります。(73ページより) 仕事についても同じで、「あのときこうしていればよかった」と思うとしたら、それは、うすうす違和感を意識していながらそれを放置した結果だということです。(74ページより)
流れに執着してはいけない
なにごとにも流行りすたりはあります。だから意識しておくべきは“向き合い方”。流行を追うことを楽しめ、有意義に感じるのであればいいけれど、しかし流行を追い続けてはいけないということです。なぜなら周囲に流され続けていると、独自の思いや考えを明確にできなくなってしまうから。 人の意見を聞かなくてもいいとは思いません。でも、周囲の声に過敏になりすぎてもいけないでしょう。映画監督の小津安二郎さんは、かつて「なんでもないことは流行に従う。重要なことは道徳に従う。芸術のことは自分に従う」と『キネマ旬報』の取材で語られていました。 これは、「本当にやりたいことは自分の心の声に従いなさい」と言い換えることができるのかもしれません。(85ページより) つまり、自身の軸をしっかりと持ち、自分を信じて邁進する。そうできたときに初めて、動じない心を手に入れることができるということ。仕事の現場においても想定外の事態が起こり、気持ちが揺らぐことはよくあるものです。しかし、そんなときにも自分の軸を持っていれば、動揺せずに済むわけです。(82ページより) つねに冷静でいる必要はなく、「繊細な性格だから」とあきらめる必要もないのだと著者はいいます。ただ、必要なときに、冷静になる方法を本書のなかから引き出してみればいいのだと。心をいまよりも安定させるために、試してみる価値はありそうです。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! 「毎日書評」をもっと読む>> 「毎日書評」をVoicyで聞く>> Source: アスコム
印南敦史