ついに変動金利が上昇!住宅ローンの適用金利が上昇する今、固定金利に変えるべきなのか
変動金利を借りている人が慌てて固定金利に変更するのは早計?今後もゆるやかに利上げする可能性に備えるためには? 【調査結果】満足度の高い住宅ローンTOP3、3位イオン銀行、2位auじぶん銀行、1位は?住宅ローンに関する調査結果をグラフで見る! 2024年に入り、3月にマイナス金利が解除され、7月には0.25%まで短期金利が上がった。現在、住宅ローンの変動金利はどのような状況だろうか。
住宅ローン変動金利の最新適用金利は?
変動金利は、短期プライムレートを参考とした基準金利から優遇金利を引いた金利が適用金利=実際の借入金利となる。優遇金利は借入時に決定するが、基準金利は変動するから、当然適用金利も変わる。2009年から変動していなかった短期プライムレートは、2024年9月に政策金利引き上げの影響で1.625%と15年ぶりに0.15%上がった。 その影響で、住宅ローンの変動金利の適用金利が、マイナス金利下であった昨年の2023年11月の適用金利と比較すると、ほとんどの銀行で上がっている。平均して0.15%弱適用金利が上がった。例えば、借入金額3,000万円、借入期間35年の場合、auじぶん銀行では、昨年の年利0.169%から年0.329%へと適用金利が上がったことで、新規借り入れ時の想定返済額は以下のように総額が約86万円増額した。 ここ10年間では変動金利は1%を割れており、下がり続けるばかりであった。リーマンショック後、ゼロ金利、マイナス金利と日銀による政策金利の引き下げがあり、変動金利の適用金利が下がり続けたからだ。しかしながら、日銀の安達誠司審議委員が、10月16日に「基本的には緩和的な金融環境を維持しつつ、極めて緩慢なペースで政策金利を引き上げていく」と述べているように、今後も急激ではないものの、金利はまだまだ上がる可能性がある。 一方で、米国では今利下げ基調となっていることから、日本が、米国のような1%、2%と、今後どんどん利上げしていく可能性は低いだろう。
これから新規で借りる場合、固定金利にすべきか?
変動金利の場合、借入時の適用金利がどれだけ低くても、6か月ごとにそのときの金利に応じて適用金利が変わるため、金利が高くなれば当初想定していた借入金額も増えてしまう。将来金利が上がって返済額が増えてしまうリスクを考えて、固定金利を選択肢として考える人もいるだろう。 しかしながら、固定金利は、同時期の変動金利と比較しても高めの金利となる。これは、固定金利が将来の金利変動リスクを銀行側が負っておりその分が金利に含まれるからである。そして、固定する金利が長いほどその適用金利は高くなる。住宅ローンの場合30年超と長い期間で借りる人が多いため、変動金利なら0.5%前後の水準で借りることができるが、35年の固定金利だと現在1.75~2.5%前後と高くなり、大きく返済額が異なる。 借入金額3,000万円、借入期間35年の場合、変動金利年0.329%と固定金利年1.75%を比較すると図のようになる。 変動金利年0.329%の場合では総返済額が約3,170万円、毎月返済額が約7万円となる。一方、固定金利1.75%では総返済額が約4,010万円、毎月返済額が約9万円と、総額で840万円、月額2万円も異なる。 そのため、実際住宅ローンを借りる人の8割が変動金利を選択している。ただし、変動金利の総返済額はこのまま金利が変わらなかった場合の想定ではあり、金利が上昇すれば総返済額が変わることはある。ただ、これほど当初の想定する総返済額が大きく異なれば、変動金利を選ぶのは必然であろう。