mixi2スタートから1週間で100万人超のユーザー獲得 「SNS移住」でⅩから離れる若者も
■SNSでは珍しい”バズりにくい構造” mixi2には、「発見」タブこそあるが、XのようにSNSを開くと勝手に「おすすめ」されることはない。Xでは自分のフォローに関係なくインプレッション数が高い投稿を見られる仕組みになっている。この仕組みには、「必要な情報以外のものが多すぎて疲れる」「見たくないものまで見えてしまう」といった否定的なコメントも多い。 対して、mixi2はフォローしている友達の投稿が時系列順にずらりと並んでいるだけで、見ず知らずの人の投稿が流れてきて、勝手に見てしまうという状況にはならない仕組みになっている。要するに、Xなどと違って“バズり”にくいのだ。 高橋氏は、この“バズリにくさ”もSNS移住が広まる一つの要因だとも指摘する。 「最近はXが酷く荒れていて、インプレゾンビ(閲覧数を稼ぐことで収益を目的とする)やアダルトサイトへの誘導投稿などが目立っています。改悪も多く、詐欺広告などの犯罪の温床にもなっています。X以外のSNSでも、フォローしていない人のバズリ投稿が流れてきて、フォローしている人の投稿が埋もれてわからなくなってしまったりして、とにかく情報が多い状況です。混沌とした状況の中で、本来の利用目的である『個人情報を隠せて、本音で話せる』新たなSNSを探している人も多いなか、登場したのがmixi2です。バズリにくく、悪質な広告もない。落ちつきを求める人たちにはとてもちょうどよいSNSなのではないでしょうか」 さらに気になる点は、初代のmixiが当初そうだったように、18歳未満は利用できないという点だ。 mixiが出た当初は、今ほどSNSが盛んではなかったため、この規制でも特に驚きはなかったが、今は中学、高校生がSNSを使う。mixi2はSNSの“覇権”を握る気はないのだろうか。
■”完全逆張りのSNS”はどう収益化するのか 高橋氏は 「初代から年齢制限があったので特に驚きはありませんでした。実際に名称からしてもmixiは20年前~10年前に使った世代をターゲットとしているのは明らかです。大人世代に向けた、「おじさん・おばさん型SNS」と呼べます。若者世代が求めているような、好きなアイドルやインフルエンサーの発信を心待ちにするといった利用の仕方とは少し離れたSNSという特徴があります」と語る。 ただ、高橋氏はこうも指摘する。 「広告がなく、収益モデルがどうなっているのかは気になるところです。Xのような有料のオプションも今のところない。またバズリが期待できない構造のためインフルエンサーも情報発信がしにくいので、盛り上がりには欠けます。年齢制限もあり、若い世代を取り込んでいこうという目的は見えません。mixiは、『モンスターストライク』など、ほかのアプリ事業などの収益で運用コストを賄っていくのか。せっかく話題になり、ユーザー数も増えているので、どのように収益化してこの体裁のまま続けていくのかは注目しています」 何もかもが収益になるSNSではなく、「一昔前」のSNSに戻ることも、日常に平和をもたらすために必要なのかもしれない。 (AERA dot.編集部・小山歩)
小山歩