福島第一原発２号機（中央、福島県大熊町で、読売ヘリから）＝帖地洸平撮影

　東京電力は２８日、福島第一原子力発電所２号機で溶け落ちた核燃料（デブリ）の試験的な取り出し作業を再開した。取り出しに使う装置の先端に取り付けたカメラが不具合を起こし、作業が１か月以上中断していた。原発事故後、初めてとなるデブリの採取を改めて目指す。 【写真】福島第一原発のデブリ取り出しに使う「釣りざお式装置」

　東電によると、作業は同日午前９時８分に再開し、原子炉格納容器内の放射性物質を遮断する隔離弁を開くなどした。今後、釣りざお状の装置の先にある爪状の器具を格納容器の底部に垂らし、最大３グラムの小石状のデブリの採取を試みる。デブリは放射線量が高いため、作業は主に遠隔操作となる。

　２号機では９月１０日にデブリの試験的な取り出しに着手し、装置先端部にある爪状の器具でデブリをつかむなどした。しかし同１７日、カメラ２台の映像を確認できなくなり、作業を中断した。その後、東電は原子炉格納容器の外にカメラを引き戻し、今月２４日にカメラの交換を完了した。

　福島第一原発事故では１～３号機で炉心溶融（メルトダウン）が起こり、溶け落ちた核燃料が炉内の構造物と混ざるなどして固まり、推計約８８０トンのデブリが発生。強い放射線を放つデブリの取り出しは廃炉の最難関とされる。採取に成功した場合、成分や硬さなどを分析し、本格的な取り出し方法の検討材料にする。