麻布が、とうとう渋渋・駒東に追い抜かれ…いま中学受験「男子御三家」で起きている「下剋上」の深層
中学受験業界を揺るがす“重大事件”
都内の私立中学受験が始まる来年2月1日まで、あと100日を切った。「いよいよ迫ってきたな」と身の引き締まる思いをしている受験生や保護者も多いに違いない。そうしたなか、首都圏の中学受験業界で、関係者が“重大事件”と呼ぶほどの異変が起きていることをご存じだろうか。 【一覧】入ると損する「私立大学」ランキング…コスパ最悪「意外な名門大学」の実名 塾関係者はもちろん、受験生やその親たちが学校選びの際、参考にしている資料のひとつに、「Y80」と呼ばれるデータがある。これは、株式会社ナガセが経営する学習塾「四谷大塚」が実施している「合不合判定テスト」の結果をもとに作成された、合格可能性80%のラインを示す一覧。 10月6日に実施された同テストをもとにした最新版の「Y80」(2025年度用・第4回)によると、これまで2トップだった「開成・麻布」から麻布が陥落。なんと「開成・渋渋・駒東・麻布」に序列が入れ替わっていたのだ。 今回、「開成・麻布」の2トップに割って入った渋谷教育学園渋谷中学校は、共学校だ。開成や麻布のような男子校ではないので、単純に両校を並べて議論するのは難しいかもしれない。 だが、中学受験や進学事情に詳しい森上教育研究所の森上展安氏によると、今回の序列変動の本質はもっと根深い。麻布を抜いてナンバー2に躍り出た渋渋の人気と実力について、次のように説明する。
桜蔭を目指す子たちが渋渋に
「渋渋は特に女子の人気が高い。女子の場合、共学校を志望する人の増加傾向ははっきりしています。かつてのケースでは、お母さんが難関女子校の卒業生だった場合、娘にも『自分の母校に進学してほしい』と願うパターンが多かったのは確かです。 しかし、最近は娘さんが『共学に行きたい』と言えば、それを許可する家庭が増えています。『何が何でも女子の御三家に』と説得する親御さんは少ないのです。許容度が高くなったといいますか…。 しかし、男子の場合、男子校ではなく共学に行きたいと志望する人が増えているかというと、数字的な裏付けはありません。ただし、渋渋は東大合格者を40人近く出せる体制になってきたため、渋渋を狙う男子も増えているのは確かです」(森上氏) 大手中学受験進学塾のある講師も、指導している校舎で女子の渋渋志望者が多いという。これまで桜蔭が合格圏内で、東大さえ目指しうるレベルの偏差値の女子受験生の中には、渋渋を第一志望にしている子もいるというのだ。