【ジャパンC】怪鳥・エルコンドルパサー 距離延長を感じさせない 世界を目指した堂々たる走り
道悪馬場を気にせず逃げて、日本馬最大の快挙を成し遂げる
現在とは違って凱旋門賞を目指す馬自体が少なく、参戦しても凱旋門賞1戦のみという馬がほとんどだったにもかかわらず、エルコンドルパサーは「現地の環境に慣れるため」という理由で1年を費やすというこれまでに例を見ない遠征プランを立てたことで、競馬ファンの注目を集める存在となった。 そんなエルコンドルパサーの4歳緒戦は5月に行われたフランスのGⅠ、イスパーン賞。 フランスに旅立っておよそ1ヶ月後に行われたこのレースでエルコンドルパサーは2着に食い込むと、7月に開催されたサンクルー大賞へ出走。 前年の欧州年度代表馬のドリームウェル、前年に凱旋門賞を制したサガミックス、そしてドイツの年度代表馬タイガーヒルなどの強豪馬を相手にエルコンドルパサーは先行策から早めに押し切るというジャパンCのようなレース運びで完勝。 日本の馬として初めて欧州の芝中距離GⅠを制してみせた。 これで凱旋門賞制覇が現実味を増してきたエルコンドルパサーは秋には凱旋門賞のステップレースとして知られるフォワ賞も勝利。いよいよ凱旋門賞へと挑むことになった。 そして迎えた凱旋門賞当日。 この日のロンシャン競馬場の馬場は前日までの雨を引きずり不良馬場というコンディションに。 日本とは比べ物にならないほどの悪条件となった中でエルコンドルパサーはスタートから積極的に逃げていくと、直線でも2馬身ほどの差をキープしたまま先頭に。 直線を向いても後続に詰められるどころか、さらに差を広げていくエルコンドルパサーに日本馬初の栄冠が期待されたが… ここにやってきたのがこの年のフランスダービー馬のモンジュー。 残り100mのところでエルコンドルパサーに並び、先頭に立つとエルコンドルパサーに半馬身の差を付けてゴール。 エルコンドルパサーはあと一歩のところで勝利を逃したが、その堂々たるレース運びは世界中のホースマンたちから賞賛され、「この年の凱旋門賞には2頭のチャンピオンがいた」と言われるほどだった。 エルコンドルパサーはこのレースを最後に、現役を引退したが… その走りは世界のホースマンを震撼させたのは間違いない。そんなエルコンドルパサーにとって世界への飛躍のステップとなったのは1998年のジャパンCだったのは間違いないだろう。
テレ東スポーツ