レーシングチームのドライバー&広報を務める看板娘が、富士スピードウェイで10位に食い込んでいた
F1を頂点とするカーレースの世界。しかし、眩いばかりの華やかさの陰には、メカニックなど、チームスタッフの尽力がある。 【写真20点】レーシングチームの広報&ドライバー看板娘を写真で見る
今回取材したのは、レーシングカーのメンテナンスを専門に請け負う「セルブスジャパン」だ。
工房内には整備中のマシンが並んでいた。
そして、別の一角に目を向けるとーー。 さっそく、ご登場いただきましょう。
こちらは、同社の広報業務を担う池島実紅(みく)さん。レース業界歴10年以上とあって、マシンのメンテナンスもこなす。 彼女が生まれ育ったのはさいたま市。レースとの出会いは、10歳のときに車好きの父に連れて行ってもらったサーキットだった。 「いわゆる“キッズカート”というマシンですが、最高時速は70kmに達します。とにかく楽しくて、これがきっかけで埼玉県内のサーキットが主催するレースに出場するようになりました」。
レースに出場するにはエントリーフィーがかかるが、親に負担をかけ続けることにも抵抗があった。そこで15歳になった実紅さんは思い切った行動に出る。 「家を出て平塚のレンタルカート場でアルバイトをすることにしたんです。運営の手伝いやマシンのメンテナンスなどをしながら、欠場者が出るとレースに参加できるという感じでした」。 そんなレースの現場でセルブスジャパンの代表・池田和広さんと知り合い、同社でのアルバイトを経て18歳からは社員として勤務している。 「2023年には自社ブランドのチーム、『TGM Grand Prix』が始動しました。世界で活躍する名だたるレーサーと共に国内最高峰で最速のフォーミュラレースシリーズ、『SUPER FORMULA』に参戦。その広報業務全般も担当しています」。
企画立案、撮影、編集、発信に至るまですべて独学だが、元々映像に興味があった実紅さん。暇さえあればYouTubeでモータースポーツの動画を観ていたという。
「あるとき、代表に実際の動画を見せながら、『F1のレース映像はこんなにかっこいいんです!』と熱弁したところ、『そんなに好きなら、うちのチームの映像関係をやってみてよ』という話になったんです。国内のレースチームが動画を発信するのは『TGM Grand Prix』が先駆けだと思います」。