異色の経歴を持つ俳優・宮田佳典。看護師として10年…手塚治虫さんの言葉をきっかけに転身「夢はいくつあってもいい」
同年、連続テレビ小説『まんぷく』にも出演。このドラマは、インスタントラーメンを生み出した夫婦の知られざる物語を描いたもの。宮田さんは、萬平(長谷川博己)が福子(安藤サクラ)と出会う前からの付き合いで、彼の右腕的な存在の竹ノ原大作役を演じた。 「初めて受けた朝ドラのオーディションでたまたま受かったんですけど、あまりにも出演歴がなかったので、この機会をどう活かすかということが、自分の中でクリアできてなかったなって思います」 ――朝ドラの撮影現場は独特の雰囲気があると思いますが、いかがでした? 「必死でした。あまりテレビとか映画の経験がなくて、あれがほぼ初の大きい役でもあり、初のレギュラーだったので、その場に馴染むこと自体が大変でした。 最初に会議室で(顔合わせ)一人ずつ挨拶するときはかなり緊張しました。一流の人たちがいっぱいいて、この場に自分も…って。萬平さんとずっと2人だったので、撮影中もとにかく必死でした」 ――正義感が強くて萬平さんを慕って支える印象的な役どころですごく合っていると思いました。短髪も似合っていましたね。 「ありがとうございます。初めての坊主頭があの作品だったので、記念になりました」 ――赤紙も届き、罪を着せられて憲兵に連れていかれた萬平さんを救うべく葛藤する心情がよく出ていると思いました。 「赤紙を受け取ったときってどうなのか、本当にしょうもないことなんですけど、赤い封筒を買って自分で書いて家に届くように郵便を出してみたんです。その体感が少しでもわかればと思って、そういうことをあのときは必死でやっていました」 ――放送をご覧になっていかがでした? 「毎回『ここがカットされたんだな』とか、台本と見比べていましたね。こうやって作られるのかと勉強になりました。もちろんカットされると悔しい部分はありましたが、作品のことを考えると、たしかに主人公の心情が伝わるなあとか思いながら見ていました」 ――宮田さんが演じた竹ノ原くんは、多分戦争で亡くなったのだろうなという感じでしたが、戻ってきてほしいキャラだと惜しむ声が多かったですね。 「ありがたいですよね。そうやって言っていただけて、すごくうれしかったです」 誠実そうな笑顔が役柄と重なる。『まんぷく』の翌年には、『ボイス 110緊急指令室』、映画『ザ・ファブル』(江口カン監督)などに出演。次回は、主演作ndjc『サボテンと海底』の撮影エピソードなども紹介。(津島令子)