異色の経歴を持つ俳優・宮田佳典。看護師として10年…手塚治虫さんの言葉をきっかけに転身「夢はいくつあってもいい」
スクリーンで見る自分の演技は…
2018年、「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018」で上映された短編映画『ヴィニルと烏』(横田光亮監督)に出演。この作品は、いじめる側をカラス、いじめられる側をビニールにたとえ、いじめられている少年の心の葛藤を描いたもの。 高校生3年生のジュン(横田光亮)は、毎日のようにタカシ(井口理)たち3人組にいじめられている。先生もいじめのことは知っているが何もしてくれない。強くなればいじめられないと考えたジュンは、夏休みの1カ月間、ボクサーである兄(宮田佳典)と一緒にボクシングの練習をすることに…。 「当時、俳優の吉村界人くんと頻繁に会っていて、彼が仲良くしている横田光亮君を紹介してくれたんです。当時彼は役者をしながら自身で脚本を書いたりもされていて。たしか会話の中でボクシングのことも話した気がします」 ――『ヴィニルと烏』は、横田監督が主演で、宮田さんは主人公のお兄さん役でした。出演されていかがでした? 「僕にとって初めて作品を背負う大切な役をいただきました。誤解を恐れずに言うと現場では横田監督を役者としてはあまり見ていなかったかもしれません。演じているときはもちろん役者として対応しているのですが、意見を色々もらっていたので、自分のイメージとしては、ほとんど監督と接しているという感覚だったと思います」 ――ジュンくんは、夏休みの1カ月間、お兄さんに鍛えられて強くなったのに、最終的に刃物を持ち出してしまうところに心の奥の闇を感じました。 「そうですよね。夏休みの1カ月間、ボクシングの練習を一生懸命やっていたので、ケンカでも勝てたはずなんですけど、奥深くにある役の闇というか。監督の社会に対してのメッセージ性がおもしろいと思いました」 ――のちに劇場でも公開されましたが、映画祭のスクリーンでご覧になったときはいかがでした? 「あのときはまだ全然自分の出演作品がなかったので、それこそ自分の演技を見たときの恥ずかしさというか…すごく勉強になりました。 実際に見てみると、自分が思っていた演技と全然違ったんです。圧倒的に映像に出ている回数が少なかったので、立ち返る機会もほとんどありませんでしたが、これがきっかけで振り返ることは演技をする上でとても大切なことだと気づかされました」 ――お客さんたちと一緒に見た感想は? 「ソワソワしましたね(笑)。King Gnuの井口理さんのファンの方々もたくさんいらっしゃっていましたし、本当に多くの人に見てもらえる機会はとてもありがたかったです。僕にとっても見た人の反応を知ることができて非常に大切な時間になりました」