ヤマハ新型MT-09 SP試乗「スポーツ派以外も選ぶ価値あり! 街乗りにも、快適にも効くサスペンション」
調整範囲の広さを活用し、自分仕様にすればもっと良いバイクに
前後サスペンションの詳細な調整幅は次の表を見てもらうとして(*画像ギャラリー参照)、フロントフォークの圧側減衰調整には「低速側」と「高速側」が設定されている。 これはどんな内容かというと、通常のストロークに対しては「低速側」で減衰力を調整し、「高速側」は瞬間的な大荷重がかかったとき、つまりストロークが非常に速く大きな状況で、オイルロックを抑止するダンパーのチェックバルブの作動を調整するものだ。 この仕組みはサーキット走行などで生じる高荷重に対応したもので、現実的に一般道走行で必要とする場面はほとんどないように思える。そういった意味では、オーバークオリティと言ってもいいかもしれない。 さて、実際にサスペンションセッティングを少々試してみた。筆者にとって出荷状態の標準セッティングでは、特にリヤが若干硬めのフィーリングに思えた。 そこで、もう少しソフトでしなやかなフィーリングの増大を狙い、まずリヤショックのプリロードをやや抜くと同時に、伸側減衰力をやや強めに調整してみた。これは、十分にサスペンションをストロークさせながら、戻りのスピードを少し抑制する方向で、コーナリング時の車体の沈み込みをやや促すと同時に、凹凸通過時の衝撃吸収性を向上させ、より接地感をアップさせようと目論んだことによる。 フロントフォークも、リヤに合わせて同じような方向でわずかに調整してみたが結果は上々で、コーナリング時の安定感が向上したように感じたし、全体的に滑らかな印象が増したのである。 例えば街乗りメイン、あるいはツーリングメイン、はたまたワインディングメインと、その目的や用途によってサスペンションの味付けも変えるのが本来だろう。 自分の知識やスキルに応じて、自ら試していくか、信頼できるショップやアドバイザーに依頼するかは別として、よりMT-09 SPのパフォーマンスと楽しさを拡大するために、ぜひ自分に見合ったセッティングを見つけてほしいものだ。せっかくのフルアジャスタブルサスペンションも、何もしなければ宝の持ち腐れになってしまう。これは非常にもったいない。